荻窪の味 三ちゃん 東京・荻窪



白い水蒸気が青い空を幾重にも隠して、淡い陽射しは蜃気楼のように微かに存在を示す程度だった、四月卯月も最終コーナーとなって来た世間はゴールデンウイークの祝日火曜日。

今日も仕事が終わって外に出れば、雨も落ちたりして一日中ぐずついた天気だったらしく、帰る時も時折り小雨がぱらついていたそんな午後七時過ぎだった。

こちらで長いこと働いておられた方が独立して西荻窪で営業している暖簾分けの店へ先日訪れたものだが、それならば本家のこちらにもまた行って見るかと仕事帰り立ち寄ることにした。

そこで定休日や営業時間が特に変わりなくやっているかネットで調べて見ると、前回訪れてしばらくしてからメジャーなアニメ番組にこちらをモデルにしたラーメン店が登場したことが判った。

そこでよく調べて見ると三年前にTBS等で放映していた、テレビアニメ番組「輪るピングドラム」の中で登場したラーメン店「荻窪の味リナちゃん」のモデルになったことがあることがネット紹介されていた。

「美少女戦士セーラームーンR」や「少女革命ウテナ」等を手掛けた、幾原邦彦氏が監修と脚本を担当したオリジナルアニメ作品だそう。

そんなわけでそんなこともこちらの店主にお聞きすれば、具体的なことが判るだろうとその店頭へやって来た。

店舗左端にホットコーナーと言う場所があり、餃子や焼きそば等のお持ち帰りが出来ることをアピールするスペースだった。

オレンジカラーとライトイエローの横縞ツートンカラーのビニールシートの庇(ひさし)に、荻窪の味三ちゃんと大きく表示された店頭は、なんとも言えない唯一無二のオーラが感じられた。

さっそく入店すると、たまたま先客ゼロのフロアが広がっていた。左寄りの入口から入店して店主がおられる右寄りのカウンター席に腰掛け、メニューからみそラーメンと餃子をお願いすることにした。

最初はラーメンと餃子でお願いしたが、餃子なら味噌ラーメンだろうとなって、直ぐに言い直してそれが通った。

「テレビアニメの中でこちらが登場したらしいですね」と店主に話すと、「ああ、そこにあるやつね」とのこと。その時に指で指した方向を見ると、関連の会社が用意したようなB5サイズ程の当時放映された1カットのフォトが壁面に貼られてあった。

近づいて見るとこちらの店内が忠実に再現されていて、そこに二頭身ペンギンの店主と二頭の同様なペンギン客が居た画像だった。程なく到着。

それではと行かせて貰えば、風情も豊かな優しいしみじみとした味噌スープの味わいがたまらないもの。麺は中細を通り越した細ストレートやや縮れ気味でこれがまた良かった。

しっかりと焼かれた餃子も、予想通りに肉餡がぎっしりと入ったもので実に素敵だった。気がつけば完食。いや、やはりかなりなかなかの味わいで、とても素敵でさりげなく美味しいものだった。

(左フォト) みそラーメン/餃子 (2014.04.29)


店内壁面上部のお品書き。

アニメで出て来たこちらの店内場面。

店舗の左端はホットコーナー。






早いものでもう師が走る師走に入った天気が良い分寒い、そんな月明けの水曜日だった。

通勤電車から見える東京スカイツリーが少し高くなったと気付いていたが、ついに500mを超え工事も佳境に入った事を公式ウェブサイトが伝えていた。

そして今日も仕事が終わって外に出れば、穏やかな午後8時半過ぎだった。少しだけ仕事が遅くなって今夜は荻窪辺りと決めてその荻窪で途中下車。

久々に南口側へ出て、下見も兼ねて商店街へ入って行き、ふと見つけたのがネットで最近知ったこちらであった。

そんなわけで今夜は昭和35年創業らしい、「荻窪の味 三ちゃん」へ入店する事にした。

店内へ入るとカウンター席が8席程度が並ぶお店で、野菜炒めなどもメニューに表記されていた。どちらかと言えばラーメン店と言うよりも、大衆中華店と言った佇まいだった。

徐にメニューを見上げてから、ラーメンと半チャーハンをお願いした。少しすると先客がオーダーしていた餃子が出来上がって、自分の前を掠めるようにして注文した客のもとに届いた。

これがとんでもなく美味そうで、もう少しで追加オーダーしてしまう処であった。

狭い厨房内には店主が一人おられるだけで、手際が命のそんなめくるめく注文に対して神業を見るような機敏な動きで対応していて思わず見惚れてしまった。

店内の貼り紙には不定休の文字が刻まれており、その下に今月の休日が3日分記載しているのかと思えば、今年なのかも怪しい8月の休みとなっていた。程なくラーメンが到着。

ある意味これ以上ないであろう昔ながらの中華そばと言う風情で、それは口にしても何一つ変わることはなかった。

若い頃何処の駅の近くで呑んでいるのかさえ判らない帰り道に、ラーメン屋台で食したそんな中華そばに近いように思えた。

鶏ガラだけでないような豚骨も利用したタイプの雰囲気で、本来の世間一般のラーメン感の中の王道感さえ感じる不思議さが混在するもの。

その分あっさりした醤油スープで、細やや縮れの麺の面持ちがまた良かった。

削いだように切られた白ネギの質感の高さも良ければ、チャーシューにさりげない大判の海苔にもこだわりを感じた。

後からやって来た半チャーハンも量がやや多めで、玉子のふんわり加減に塩さじ加減も実に素晴らしくて、シイタケの細切れも混じってかなり美味いチャーハンだった。

もうそれは気がつけば完食の説得力が唸る、そんなラーメンと半チャーハンと言えた。

精算時に創業昭和35年を確認させて貰うとその通りだそうで、「それじゃ二代目なんですね」の投げ掛けた言葉に気さくに肯いてくれた。

店名から神保町某店のイメージを連れて来てしまった感があったが、オーダーしたメニューもあってラーメンは全然違うものの、当たらずとも荻窪のさぶちゃん的な雰囲気を感じたこちらであった。

いや、なかなかけっこう実に良かった。

(左フォト) ラーメン/半チャーハン (2010.12.01) 


 荻窪の味 三ちゃん

 住所:東京都杉並区荻窪5-29-20  TEL03-3398-6582

 定休日:不定休  営業時間:11:00〜22:30

 アクセス:JR荻窪駅南口下車。荻窪南口仲通り商店会を入って三つ目の左路地を入り進んで
       行った次の十字路の左側にあり。