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遥か先まで雨雲が我が物顔で広がりその分だけ気温を落として、梅雨らしい雨が朝から降り頻るそんな六月上旬の休日木曜日だった。
山路力也氏編著「トーキョーノスタルジックラーメン」でずっと気になっていながらも未訪問だったラーメン店で、ちょっとした所用をきっかけにして思い出し今回入店する事にした。
JR有楽町駅の神田方面の改札口を出て、右寄りに電車が走る高架線の真下にある薄暗い道を進んで行く。すると丸三横丁なる路地の入り口にこちらの存在を知らせる看板が置いてあった。
それに気づいてその横丁を進んで行くと、人間慣れした猫が誰かが来るのを待っていたようにしゃがんでいた。おそらく普段ここを通る人達が餌をくれるのだろう。
その横を通っても臆する事なく、次の訪問客が現れるのを待つように、特に微動だにしなかった猫であった。そして少し歩けばこちらで、出口の手前右側にこちらが風情よく佇んでいた。
券売機の存在に気がついてその前に立ち、ワンタンメンのボタンを見つけて千円札を挿入してからそのボタンを選んだ。
券売機の正面には今回きっかけとなった本の特大カラーコピーが大事そうに貼られており、この本の1ページを飾っている事に対してきっと喜びを感じているのだろうと思えた。
店内へ入って行くと先客ゼロの厨房には店主と若い男性がおられた。今しがた店主と同世代くらいの女性が出掛けて行ったので家族3人で営業している風だった。
チケットを手渡しながら特大コピーしている本がきっかけで来た事を告げると嬉しそうに歓迎してくれて世間話しに花が咲いた。
若い男性はやはり息子さんだった。「3代目ですね」と言うと、まだ決めてない事を教えてくれた。戦後まもない頃は自転車業を営んでいたこちららしい。
昭和21年上海から復員して来た店主の親父さんの先代が、復員の翌年に現在の外堀通りプランタン銀座の前辺りに自転車店を創業させたそう。
そして昭和29年に地下鉄丸ノ内線の工事により立ち退きをする事になって、現在のガード下にその自転車店を移転させたらしい。
毎日新聞社のオートバイや丸ノ内警察の白バイを相手に繁盛した時期もあったが、商売の低迷期を機にして昭和42年からラーメン店となったそう。
その昔周辺には新宿に移転した都庁があった事もあり、ラーメン店は景気も後押しして軌道に乗り現在に至ったことだろう。まもなく後続客が続きに続いて、盛況な店内となった。程なく到着。
これがそこそこ油が浮くあっさり系のラーメンながら、大量の湯気が迸るラーメンで、なんとも撮影に四苦八苦するしかなかった。
店主から早くしないと麺が伸びちゃいますよと来たので、柔らかい麺が好きな事を告げると安心して撮影出来る事となった。
それではと行かせて貰えば、豚骨のみを炊き出した醤油ラーメンは昔ながらのいい味わい。丸山製麺らしい中太ちぢれ麺が、嬉しい食感を示してくれて良かった。
厚みのあるチャーシューが実に美味しく、餃子のような肉餡みたいにニンニクが感じられるワンタンがまたなかなかだった。気がつけば完食。
ブランドでラーメンを食べる方にはあまりお奨めしにくい、そんな系統で味わいのいいラーメンだった。貴重な味とは、むしろそうしたものだろう。いや、かなり風情のある昭和の味であった。
(左フォト) ワンタンメン/座敷もある店内/丸三横丁内店舗外観 (2011.06.02)
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東京の味 谷ラーメン
住所:東京都千代田区丸の内3-6-8有楽町高架下センター商店会丸三横庁内
TEL03-3231-5332 定休日:土曜・日曜・祝日 営業時間:11:00〜14:00/17:00〜20:30
アクセス:JR有楽町駅神田寄りの改札口を右手に出て京橋口左手の路地から抜けて車道に出て
横断歩道を渡って目の前にある有楽町高架下センター商店会へ入って行く。ガード下を
50m程歩いて左路地の丸三横丁を入って一番奥の出口手前の右手にあり。徒歩2分。
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