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ひとときの晴れ間が過ぎ去れば、また青空が隠れて小雨さえも舞い落ちて来た、二月半ば週明けの月曜日であった。都営地下鉄新宿線のプラットホームに降りると、連絡する京王線の影響で快速電車の運転が取りやめとなっていて、全ての電車が各駅停車の運転で順次運行していた。
そんな電車に乗り込んで、また都内へ向かう私であった。途中から地上に上がる区間がある地下鉄新宿線で、幅の広い河川の長い鉄橋を渡る頃、水滴が付着するガラス窓から遥か遠方を臨めば、まるで誰しもが見えない遠い将来のように霞んでいた。
時に、ご当地ラーメンと言う言葉が流行り出した頃にオープンした「初代けいすけ」で、文京区本郷で2005年6月に黒味噌ラーメンなるメニューをウリにして開業した。
店主は広島ご出身の竹田敬介氏で、三國シェフに影響を受けてフレンチで12年間修行を続けて来た方で、その後和食の世界に飛び込み5年間さらに修行を重ねて来られたそう。その後はどなたもが知るように、新たなる展開の新店が次々と都内にオープンして行った。
2006年7月高田馬場に「二代目海老そばけいすけ」、同年10月立川ラーメンスクエアにイタリアントマト豚骨を提供した「三代目けいすけ」(2007年9月卒業)、2007年10月京急品川駅下品達にも「初代けいすけ」がお目見え。2008年11月本駒込では伊勢エビ等の持ち味を生かした濃厚つけ汁による「つけめん四代目けいすけ」と続いた。
そして昨年六月には東京駅構内にオープンした、東京ラーメンストリート内に「二代目けいすけ海老そば外伝」がさらに開業した。こちらは二代目で提供した海老そばに、伊勢エビ等も利用して進化した味が愉しめるらしい。
そんなラーメン店のけいすけさんで、ご当地ならぬご当人ラーメンと言う言葉も出来た程だったが、不思議と系列店にも今まで訪問していなかった。なんとなくきっかけが無かっただけで、今回はそんな意味でもぜひともと、興味が湧く所となり出掛ける事にした次第だった。
本年初頭より品達「初代けいすけ」にて提供された、限定メニューが今回の新店のウリのメニューで先行して披露されていた。その時の情報によると今回のプロトタイプかも知れないが、そのラーメンは竹岡式と青島食堂を足して2で割ったようなタイプだったらしい。
そんなわけで雨そぼ降るなか出掛けて、都営新宿線住吉駅B1出口そばの店頭には正午頃に到着した。先月オープンしたこちらで、かなりの混雑を予測したが店内満員なるも、外の列は平日でこの寒さと雨もあってか二人が立ち並んでいるだけであった。
しかし直ぐに後続が続いて、そこは人気を博している、けいすけ系列店であった。ふと入り口の扉の前を見ると、使い捨てカイロが箱ごとドサッと置いてあり、何とも嬉しいご配慮のこちらであった。一つ頂き早速開封して利用させて貰った。
程なくして元気そうなご老人が目の前に立ち止まった。行列もできる新しいラーメン店に、下見でもして中の様子でも伺うのだろうか。と思えば、ただ使い捨てカイロをわしづかみして立ち去って行った。おそるべし住吉のご老人だった。
などと待っていると順番になって、広げていた傘を閉じて傘立てに立てて入店。すると直ぐ右側に最新鋭の券売機があり、チケットを購入するよう促された。見るとラーメンのメニューは、肉そばオンリーで、そうだったのかであった。そこには4つのボタンがあり、並か大かと、その半熟味玉付の夫々であった。
サイドメニューを選ぶボタンがない事をそばにおられた方にお聞きすると、ラーメンを選んだら画面が変わるそう。並盛でもお徳な金額680円で、そのボタンをタッチ。するとなるほど新たな画面に切り替わり、そこにあった公式サイトでも紹介されていた、エッグライスをさらに選んだ。
出て来たチケットを手渡すと入り口から三番目のカウンター席に案内を受け、持参したA4サイズのバッグの置き場所が狭い事を考慮して、貴重品が入っていないかを確認受けてから預かってくれた。店内は盛況な店内。
広い店内とは言えないが、スムーズに先客のオーダー品が到着して行き、入口そばに座ったが後続客とぶつかる事もなかった。目の前には昔よく見たアルマイト製のヤカンが置いてあり、冷水が入っているようで結露して水滴が無数に付着して雰囲気を高めていた。
先行して茶碗に入ったエッグライスがやって来た。卵がトロトロの半熟状態で薄い醤油ダレが掛かっていて、口にすればこれが実に美味しく、その口当たりがまたたまらないものとなっていた。そしてラーメンも、程なく到着。
おお、なるほど濃い醤油色をしたラーメンで、これでもかとチャーシューが、そんな濃い色の醤油スープを塞ぐように表面へ並べられていた。はっきり言って、これは美味そうだ。そこに刻まれた生タマネギと擦り下ろされた生姜がちょこなんと置かれていた。
それではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいやいやいや、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。
口にして見れば、なるほどと言う美味しさで、薄切りされた150gに及ぶチャーシューも手伝って出て来たイメージは、昭和4年創業と言われている京都の老舗店・新福菜館のラーメンで、刻んだ生タマネギと擦った生生姜も利用してリスペクトさせたスタイルに感じられた。
麺を担当する製麺所が村上春樹ファンの私の心をくすぐる村上朝日製麺と言う名前で、加水低めの中太ちぢれは、これがまた実にスープの色も若干写って新菜福館していた。
肉がしっかり入って680円でも麺量もけちっておらず、濃い醤油色はやや味が濃いもののキレのいいスープで、かなり満足度の高いラーメンに仕上がっていてた。そんな事もあって、気が付けば完食だった。
目の前の方に良かった旨を告げると喜んで頂き、思わず他の支店にも足を運んで見たくなった。A4バッグもまごつく事なく速やかに手渡してくれた。擦り生姜など、希望を言えば増減してくれるそう。いや、これは美味し、温故知新な肉そば680円と、トロトロ玉子のサイドメニューであった。
(左フォト) 肉そば並/エッグライス/アルマイト製やかん/店頭外観 (2010.02.15)
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