

 |
爽快な陽光が降り注いでいるものの低く垂れ込めた白雲が、まるでパネル画像クイズの隠れた部分のように青空を所々塞いでいた。そんな青空の部分だけでは解答が導けない程だった、雲の多い十月も下旬に移行した水曜日の朝だった。
それも正午前には幻怪な二次元映像の如く消え失せて、その分明るくなった首都圏だが、それでも秋の深まりが感じられた品川中延界隈だった。今日はそんな周辺に営業で出掛け、ラーメンを食べ歩き始めた当初から気になりながらも、未訪だったこちらへ入店する事にした。
今年も発刊された石神氏のラーメン本でも殿堂入りしている、荏原中延駅前にある平成八年創業の名店だ。ちなみに今回の氏の本は首都圏近郊の地ラーメンに脚光を当てており、その他の内容も充実して又面白い構成になっていた。
開店前のこちらの店頭へ到着。大抵のラーメン店の場合シャッターや扉を閉め、開店時間前まで準備を行う所だが、既に営業が始まっているかと思った程に店頭をオープンにしていて開店前の準備に精を出しておられた。
行列の状況やあらゆる関係で、そうされておられるのだろう。こちらもあらかじめ券売機でチケットを買うスタイルらしく、私も中華そばにトッピングメンマとごはんのボタンも連打し、チケットをお店の方に渡して所定の場所に並んで待った。
そのあいだケータイでこちらを紹介するサイトの幾つかを見ていると、チャーシューがかなり良い事が判った。追加する事が問題無いか確認する為にお店の方に一言お詫びして申請しつつ、券売機でトッピングちゃあしゅうのボタンを押し、チケットを手渡して追加して貰った。
開店数分前だったが、カウンター席に誘導を受けて着席。店内には使用食材の殆どが、国産が利用されている旨の表記がされていた。奥の壁には毎週火曜日だけ営業するこちらのセカンドブランド「創作つけ麺RAMPoW(ランポー)」の看板が立て掛けてあった。
洋風シフト等の太麺等による味噌つけそばを提供しているらしい。外列4番目で入店した私だが、それにしてもかなりの超が付く人気店のこちらで、後続が続きに続く店内。外には入店を待つ方が長い列を作って順番を待たれていた。程なく到着。
おお、ラーメンには、かなりのオーラが感じられ、これはかなり美味そうだ。チャーシューも見るからに通常では無い事が判り、直前には女性店主自らカセットバーナーで炙っておられた。かぐわしい香りにさえ、次元の違いを感じる。それではとおもむろに箸とレンゲを携え、行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいやいやいや、もう久々の美味い無限大。
もう心は目の前の、そのラーメンの虜。完璧なラーメンとは、このラーメンの事ではないかと、確信してしまう程だ。女性ならではの繊細な表現力に満ちた感性からか、シュールな面は微塵も無いものの、ミロのヴィーナスに匹敵するかのような無窮の芸術作品と言いたくなるほど。
いや、もうとんでもなく美味しいと言うしかない。麺はコシの強い丸山製麺の中細ストレートで、醤油ダレには高価な二年もの天然醸造醤油を用いているそう。スープに利用されるその食材群は、厳選しているであろう国産ゲンコツに大山地鶏と、北海道昆布に亀山焼鰹節、季節で産地を変える煮干しとはどこまでも先の見えない程にこだわり高いこちらであった。
スープは煮干しをがっつり利かせて甘みを落としている割りには、苦みが殆ど感じられない秀逸さも見逃せない。それはあっさりまったりと来る、東京系醤油味ラーメンだった。
チャーシューがまた噂通りの激うまチャーシューで、部位の違う二種類が二枚ずつ入っており、脂の甘み迸る柔らかチャーシューと、噛めば肉汁が溢れムチムチした食感がたまらないチャーシューで、どちらがどちらとも言えない甲乙の付け難い二種の美味しさであった。
またメンマもかなりの仕事をしているもので、ここまでスジを感じないものはちょっとないし、青ネギも辛み具合が新鮮さを物語っていた良さだった。もう気が付けば完食である。最後の一すすりで、小宇宙が完結したと思う程に、大変とっても旨かったラーメンであった。
(左フォト) 中華そばメンマちゃあしゅう増し/店内/店頭外観 (2009.10.21)
|