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青空に白雲と青雲と灰色の雲が交じり、陽射しが出ては隠れてが繰り返されていた、九月下旬の日曜日の午前中であった。
2003年5年31日千葉県の稲毛海岸に、一軒のラーメン店がプレオープンを迎えた。そのお店こそが、こちらの礎となったラーメン店であった。翌日には本オープンし、毎週土曜と日曜のみの営業と言う中で、様々なイベントのラーメンが提供された。
その仕掛け人こそは、インターネットサイト千葉拉麺通信主宰者の山路力也氏で、きっかけはそのサイトが100万アクセスとなり、それを記念した企画の中から派生したものらしい。
氏は千葉テレビなど千葉県内のマスコミに数多く登場して、県内のラーメンを紹介している。ラーメン関係の書籍では、都内の情報通の片鱗も見せる本など、千葉のラーメンを中心に数多く執筆している。
そんな氏がプロデュースするラーメン店で、運営して来た方はメキシコに料理修行して帰国後メキシコ料理店を開業させたり、勝浦市内で「南房総とんこつらーめん研究所旨勝1号」を営んで来た川崎氏。
そして荻窪の名店春木家本店の他数々の有名ラーメンで修行して来た工藤氏のお二人が中心になっていたらしい。だがその試みも2005年5月29日、奥村屋さんの限定を最後に一度閉店を迎えた。
しかし稲毛海岸で二年間土曜日曜営業で収まる拉通ではなかった。2007年3月22日八千代市の国道16号線沿いでプレオープンし、その月末には本オープンを迎え、かくて「千葉発、実験的情報発信ラーメン店拉通-ra2-」がスタートする事となった。しかも今度は、年中無休の終日営業だ。
第一期の頃は土日が稼ぎ時の家電販売店に勤めていて稲毛海岸には行けず、こちらがスタートした頃には体を壊して長期療養の日々が続いていた。
以前そう言えば行けると言う事で,アクセスする方法を思い巡らしたが、路線バスは無いしタクシーを利用するにも帰りを考えるとつい敬遠してしまう所だった。
そんなわけでなおざりにしていたが、ネット的に千葉を代表するラーメン店と言う事に、神久保と書いて「いものくぼ」と読ませる地名がきっかけもあり、今回レンタカーを利用して出掛ける事にした。
あらかじめ2日前に予約し、レンタカー店を午前10時に出発。以前自家用車を所有していた頃、よく走らせていた木下街道を使ってこちらを目指した。と言ってもそう遠方でもなく、程なく国道16号線に入った。
そしてまもなく到着である。おお、前方に見えるアレだなと、操るトヨタビッツの速度を減速させる。すると手前に案内板があり、そこには「大盛無料サービス中」とあり、しかもその下には「地球に生まれて良かった〜」とあった。
なかなか気が合いそうだなと思いつつ(たしかに)、ハンドルを左に切ってこちらの敷地に到着した。
すると道路寄りの雑草が生い茂る所に、オレンジ色の花が咲き乱れており、そのカラーに思わずプロデュースされた方が応援する、某読売巨人軍が優勝した事が思い起こされた。きっと花の種を植えられたに違いない。(笑)
午前10時から始まるラーメン店はかなり珍しく、私的には需要があると思う。駐車場には既に1台が止まっており、私の後を追うように3台の自家用車が続いた。店舗を撮影してから中に入ったので、後続客が既に入店しており盛況な店内となっていた。右手のカウンター席が空いていて、そこに腰を降ろした。
オーダーはここに来るまでに随分と悩んだ。と言うのも新メニューで二郎系のラーメンが始まっており超極太麺だそうで、それゆえに今日はそれをがっつり行って帰るかと思った程。
しかし店内で案内されていた、他のメニューにも結構魅力的なものがあり、そんなメニューに気持ちがリセットされた事もあって、結局公式サイトに二郎系と並んで紹介されていた、新メニューの濃厚黒拉750円をお願いした。程なく到着。
おお、濃厚豚骨スープに鶏油が香って来て、そこにホウレン草が添えられており、パッと見は家系ラーメンと言う風情であった。しかし大量の刻みタマネギに、焦がされたナルトも入っていて、只ならぬビジュアルのラーメンでもあった。
それではと行かせて貰えばそれはもう、いやいやいやいや、美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。油はチーユ以外に背脂も入っていて、醤油がやや主張しながらも、それをうま味がねじ伏せたイメージが持てるものであった。
それでしつこさは大量の微塵切りのタマネギの所為もあってか、微塵もなくまったりとした風合いが舌を駆け抜けて行った。
中太ちぢれの麺もオツで、気が付けば完食となった。様々な方向性と様々なトレンドを一杯一杯毎に変えるこちらだけに、逆にこの一杯で全てを語る事はできないが、少なくとも今回のラーメンは大変に美味しなラーメンであった。
精算して帰る間際に親子連れが先に席を立ったのでやり過ごしていると、父親が精算レジに立つよりも早く、小学校低学年くらいの女の子が先に来て、「美味しかったよ」とだけ告げて、足早に自分の乗って来た乗用車に向かって去って行った。
子供はウソをつかないもので、そんな出来事が普段から起きているこちらの、そんな微笑ましいストーリーが垣間見れて良かった。
ふと店頭では見掛けなかった、冠である「千葉発、実験的情報発信ラーメン店」の文字が、誇らしげに浮き上がって輝いていたように見えた。そしてすぐその側ではオレンジ色の花が、けたたましく通過する乗用車の作る風で揺れていた。
(左フォト) 濃厚黒拉/店内メニュー/店舗外観/少しだけ離れた場所の風景 (2009.09.27)
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