一日ぐずついた天候の本日だったが、夕方こちらへ向かうため外へ出ると、西の空が赤くなって夕焼け空が広がる午後6時前。嫁さんが所用で夜遅く帰るので夕飯はいらないとの事で、続く連休の時だけにそれならばとこちらへの訪問を思いついた夕暮れ時だった。
この数日で夏の色彩が何処となく秋色にすげかえられていた周辺。涼やかにスズムシの鳴き声が聴こえて、暮れなずむ空は人を穏やかにさせた。と言うわけで自宅周辺のバス停から路線バスに乗り込んで、JR東松戸駅で乗り換えてこちらの近くのバス停で降車。店頭に到着するとちょうど列の先頭が暖簾の中に吸い込まれてゆくところだった。 |

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その後ろに着いて入店すると、カウンター席の角席辺りに促されてそこへ腰を下ろした。冷水は独特なラインを持つズンドウ状の中型ガラスボトルに入れられて来て、それを入れるコップはおちょこ状の小型のものでそれは以前と同じようにまずやって来た。
順番にオーダーが聞かれて行き、私の番となって予定通りにつけそばと季節のごはんをお願いした。
季節のごはんのオーダーが入るたびに、今日はヒラタケのきんぴらとキュウリの塩麹漬けに、焼き穴子であることを注文した本人に告げていた。
今思えばこのサイトを始めた頃こちらへ行って、季節のごはんも楽しまずにいきなり塩そばとつけそばを連食してしまったのが、次回訪問に時間が必要だった原因だったのかも知れない。
それもあるが実際は夜営業しかしないこちらで同じ松戸市内ながらかなり遠方ゆえが大きく、松戸の名店と目されながらもまだ数度しか訪れていないかったこちらだった。
それだけに三年前に二度目の入店を果たして中華そばと季節のごはんを食した時は、感動の嵐の中でそれを食べ終えたものだ。
後続客が続いて程なく席の全てが埋まったこちらだった。それでもさらに入店客が続いて待ち客が生じていた。
どこか割烹料理店の雰囲気がある店内。程なく到着。それではと行かせて貰えば、そのじんわりと来る切ない程の素敵な旨みは、どこまでも続く長い線路のように感動を長く心にもたらしてくれるもの。
極太の平ちぢれ麺は口内と舌にひとときの春を呼んで、さっぱりとした風味に酸味を入れて香味油も利かせたつけ汁は、心の奥底のドアを開けさせて高原のそよ風をそこに送り込んでくれた。そして季節のごはんもまた素敵で美味しいひとときの延長であった。
近年は穴子さえも養殖ものが流通していたり、輸入物にはあらかじめさばいて開いたものさえあるようだが、こちらの本日の穴子は瀬戸内海ものと言う意味だろうか明石のいけすもので国産の天然物だそう。
気がつけば完食。いや、つけそばが第一幕であるなら季節のごはんはその第二幕であり、その全てを食べ終えた時惜しみない拍手を贈りたくなるほど美味しいものと感じることが出来た。
(左フォト) つけそば/季節のごはん (2012.09.25)
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味処 むさし野
住所:千葉県松戸市松戸新田133-4 定休日:日曜日 営業時間:18:00〜23:00
アクセス:JR常磐線松戸駅東口バスターミナル1番乗り場より、三矢小台行きなどの路線バスに
乗車して「富士見台」バス停留所で降車。進行方向に進み、消防署の十字路を左折して
しばらく歩いた左側。
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| 2012.09.25 カウンター前のメニュー。 |
2012.09.25 暮れなずむ頃の店頭外観 |
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本格的な夏が訪れる直前、東から陽が昇るのと変わらない程に、日本には約束された梅雨が必ずやって来る。雨が落ちなければ空梅雨と呼ばれ、不安要素の一つとしてTVニュースに取り上げられるが、そんな事もなさそうな感じの今年だった。
そんな事がふと脳裏に過った、見上げれば曇り空の七月上旬の金曜日だった。当分仕事の日は弁当で行きたいと言う事で、夜ラへ行こうと決めてから、それならとこちらの存在が浮上した。
ラーメンが好きな方なら判るその美味しさで、店内はゆったりしとしたくつろぎの空間のこちらで、あまりにも自然過ぎて蘊蓄がない事にさえ、気がつきにくいこだわりラーメン店だ。
しかし同じ市内ながら直通する路線バスは無く、しかも夜しか営業しない事もあり、このサイトを初めてまもない頃初訪問したきりであった。行きたい指数の常にトップに近いお店ながら、いつでも行ける距離などもあり、本当にかなりの久々の入店と今回なった訳であった。
そんな訳で、JR松戸駅東口バスターミナルから路線バスに乗車して、夕暮れ前の暮れなずむ店頭へ到着した。藍色の暖簾が国道を走る、乗用車が送る風ではためいていた。まるで割烹料理店のような風情の店舗だ。
中へ入ると、六十代前後の御夫婦と、五十代ふうな男性客の三人がおられた店内だった。右手に靴を脱いで座るテーブル席があり、正面にあった先客らの中間に位置するカウンター席に腰を降ろした。
見上げたメニューから中華そばに、季節のごはんもオーダーした。季節のごはんはホタテの炊き飯に、烏賊の刺し身等が添えられたものだそう。やや暗い照明の落ち着いた雰囲気は、時間と言う縛りから解放された、亜空間を演出するかのようだった。程なく到着。
おお、6年ぶりの「むさし野」である。今、口にすれば、何を思い何を感じるのだろう。そう思うと、無性に胸が高鳴った。それではと、口にさせて貰えば、それはもう、いやいやいやいや、これは美味い美味い美味い美味い美味い。
極めて自然体でありながら、忘れかけていた望郷の、些細な一場面がシルクスクリーンに映し出されているかの様な美味しさと言えば良いのか。
中華そばも季節のごはんも、さりげなく美味しく、さりげなく新鮮で、さりげなく全てが馴染んでゆく。そうしたさりげなさ故に、個性の無い事が個性だと思えてしまうくらいだ。
しかしそれは無いのではなく淡いだけで、そしてさりげなさは、どこまでも続く空と同じくらいに、聡明な色を持している。
自分が感じ取ったイメージが良ければ、店主にそれを伝えて見れば、それもまた一興で面白いかも知れない。ちなみに麺は、極太平ちぢれの多加水系。
気が付けば完食。いやいやいや、これは良かった美味かった。
(左フォト) 中華そば/季節のごはん (2009.07.03) |
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| 2009.07.03 まず腰掛けると、ガラス製の冷水ボトルとおちょこが。 |
2009.07.03 夕暮れの店頭外観 |
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