生そば 昌久 本店 東京・西荻窪





ひと足遅れた春一番とも言えそうな強い南風が、干したばかりの洗濯物を揺さ振らして、満開近くとなった桜花稔る小枝も揺らしていた春めく陽射しがそそぐ三月弥生月末の休日火曜日だった。

先日西荻窪を訪れた時にカフェを探して見つからず、そうしている内に偶然にも西荻窪商店会連合会の臨時出張所を見掛けそこでお聞きしてことなきを得たことがあった。

その際に西荻窪の様々な各店が紹介されている発刊されたばかりの「西荻ごちそう様手帳」なる小冊子が置いてあり、これは便利そうと希望すると二つ返事で頂くことが出来た。

後日その小冊子をめくっていると、しばらく前からラーメンも提供する日本蕎麦店のこちらが、創業83年になることが案内されていて一気に気になるところとなった。

そんなわけで本日もまた中央線快速電車に揺られ、西荻窪で下車して南口側に降り立った。駅前の道路を左手に進み、突き当たりの通りを右折。一つ目の信号十字路の西荻南二丁目交差点を左折して、そこから住宅街を500mほど歩いて行くと右側にこちらが風情も良く佇んでいた。

一本道の3m幅程度の道路には等間隔に常夜灯の鉄柱があり、そこには神明通り共和会の文字が上部に刻まれていて、そんな通りの場所に位置するこちらだった。

周辺のコミニュテイバスである南北バス交通「すぎ丸かえで路線の西荻南四丁目停留所が界隈にあり、西荻窪駅から歩くと10分近くかかるがそうした路線バスを利用すれば利便性も良さそうだ。

ともあれ入店して行くと、日本蕎麦店らしい何処か厳かな雰囲気さえある静かな店内が広がっていた。先客が二人おられたが、まもなく一人が食べ終え精算を済ませて帰って行かれた。

奥に小上がりの座敷席があり、それを臨む位置になる中央左手中ほどのテーブル席へ腰掛けた。さりげなくこちらが創業83年になることを知って来たことを、西荻ごちそう様手帳を見せながら話した。

すると笑顔を迎えて頂き、昭和七年頃に開業したこちらなのだろうが、戦中時は休業を余儀なくされ、現在の店主は三代目になることを教えてくれた。

テーブルの上に置かれたメニューから少し悩んだ後で、やはりトラディショナルを重んじた一杯で行こうと、シンプルにラーメンを注文することにした。

中華物の部としてそんなラーメンの他にも、幾つかの中華メニューが用意されていたこちらだった。野菜ラーメンは塩味と醤油味があり、11月から4月までの限定でみそラーメンもあり、それだけでなくつけめんもラインナップされていた。

おしながきと記された目にメニューブックの冒頭には昌久本店の銘が刻まれており、お聞きすると高尾や下高井戸等のお店は暖簾分け店で、こちらが本家であることを後から更に教えて頂いた。

程なく到着。黒塗りの四角い盆に、ラーメンが載せられてやって来た。木製のレンゲが小皿に添えられて、割り箸は西荻昌久の銘が記された紙製の箸入れに入っていた。

お店の方がコショーが入った容器も、追ってテーブルに置いてくれた。麺の太さがぼんやりとして直ぐ判らないほど、醤油スープはややくすんで茶濁していた。

それではと行かせて貰えば、なかなかの持ち味が実にたまらないもの。昭和初期の創業らしいが、スープの風情は昭和中期以降を感じる味わいで、チャーシューがかなり満足度の高い風合いだった。

メンマも日本蕎麦店に居ることを忘れさせるほどで、海苔や半熟気味のゆで卵も入り恐るべしとも言える素敵な中華そばと言うしかなかった。

鶏がらベースのスープだそうで、豚骨や魚介に香味野菜等と共にしっかり炊いたものだそう。後半になってから、コショーをかけると、また良かった。

それだけに、気がつけば完食。いや、かなりとんでもなく絶大に果てしなく、途轍もなく確実に明瞭に何処までも実にとっても素晴らしく良かった。

(左フォト) 店頭と周辺/ラーメン/落ち着いた客席フロア (2015.03.31)


 生そば 昌久 (ショウキュウ) 本店

 住所:東京都杉並区西荻南1-14-16  TEL03-3333-6518

 定休日:水曜日  営業時間:11:00~20:00

 アクセス:JR西荻窪駅南口下車。南口駅前道路を左手に進み、突き当たりの通りを右折。一つ目の
       信号の西荻南二丁目交差点を左折して、そこから住宅街を500mほど歩いた右側にあり。



すぎ丸かえで路線の停留所。この先を左折すると程近い。

太平洋戦争で一時休業したが創業83年で店主は三代目。

日本蕎麦店だが、中華メニューでつけ麺も提供している。

西東京周辺に点在する昌久だが、こちらが本家だそう。

中華麺・うどんだけでなく、親子丼・カツ丼・天丼も。

温かみのある詩のようなものが掲げられていた。