冨士中華そば 東京・荻窪





おりからの南風に満開を迎えた桜の花びらが舞い降りて、見上げれば今にも雨が降り出しそうな雲行きの空が広がっていた四月卯月上旬の金曜日。

今日も仕事が終わって外に出れば、予測もされていた雨は降らなかったようで、生温い風が春を加速させていた午後七時過ぎだった。

荻窪駅北口ロータリー手前右端の荻窪銀座街道路入口の辺りにある、荻窪北口駅前通商店街に入り少し歩いた右手に佇むこちらで、その訪問を何度となく考えてはそのままになっていた。

すぐ斜向かいに同じ冨士が付くこちらと同じくかなりの歴史を感じさせる食堂が営業していた。

しかしそちらは少し前から入口が増えたかと思えば、すぐ傍の裏通りに移転してしまい、現在ではその名残りを留めない新しい店舗に変わってしまった。そもそも同じ冨士が付くだけに、経営は同じなのだろうか?いや、必ずしも、そうとは言い切れない。

それにしてもかなり老舗中華店のこちらであることは、その店頭の佇まいから見て取れるが、それではいつ頃から営業しているのだろうか。

そんなわけで、そこら辺が気になるところとなって、今夜こそとその店先にやって来た。以前冨士食堂があった場所には、全く関係ない店が営業していた。

こちらはと言えば、年月が経過した分さらに年季が入った店頭となっていて、良き昭和の香りと風情を今夜も周囲に振り撒いていた。とは言っても商店街自体がすでに歴史ある佇まいだけに、傍の店舗と共に同化していたと表現した方が適切なのかも知れない。

ともあれ意を決して初めて店内に入って行くと、予想を越えた昭和の佇まいが広がっていたそんなこちらであった。

そこそこに盛況な店内でそう広くないだけに、数人の先客でもそんな活気さえ感じる雰囲気だった。

右手壁面に据え付けられたカウンター席の中ほどに腰掛けて、やはりあれで行くかとなって予定通りに600円と表記されていた半チャーハンとラーメンをお願いすることにした。

料理を運ぶ女将さんにさりげなくお聞きすると、冨士食堂とこちらは兄弟筋や親戚筋になる間柄だそうで、同じような店名ながら経営が全く違うことを教えてくれた。

創業50年ほどになるこちらだそうで、昭和40年前後から営業しているそうだ。ちなみに冨士食堂の方が数年先に開業していたそうで、後からこちらがこの店舗の営業を始めたらしい。

厨房の奥で寡黙にラーメンと半チャーハンを作る店主がおられた。かなりご高齢のようだが、手際の良い中華鍋の扱い等さすがと言う感じだった。

店主が釣り上げたものだろうか、店内壁面の天井寄りには、大きな魚の魚拓が数枚飾られてあった。程なく到着。

それではと行かせて貰えば、良き時代の良き中華そばの味わいが実にたまらないもの。

醤油の色が濃い分深いコクが与えられたスープに、中太と言える縮れの強い麺は個性の高いものと言えて、加水が抑えられたその風合いの良さと言ったらなかった。

プリプリとしたチャーシューの風情もなかなかだし、メンマ、三角形の海苔、厚みのあるナルト、散らされた刻みネギの量など、どれもが絶妙で確かなパーツの完成度の高さを感じさせた。

チャーハンがまたとんでもない素晴らしさで、大いに泣ける風格を感じさせてボリュームも程よく、かなりの感動を与えてくれた。

それだけに、気がつけば完食だった。いや、かなりとんでもなく絶大に素晴らしく、果てなく途轍もなく確実に明瞭に何処までもひたすら良かった。

(左フォト) 店頭と商店街/ラーメン/セット半チャーハン (2015.04.03)


 冨士中華そば

 住所:東京都杉並区上荻1-6-1  TEL03-3391-9525

 定休日:日曜日  営業時間:12:00~14:00/18:00~21:00

 アクセス:JR荻窪駅北口下車。北口のロータリー手前右端の荻窪銀座街道路入口の傍にある荻窪
       北口駅前通商店街に入り少し歩いた右側にあり。



北口ロータリー右手の傍に商店街入口あり。

戦後まもない頃に開業した商店街だろうか。

中華そば店が三店並ぶ、一番奥で営業しているこちらだ。

創業50年ほどになるこちらだそう。

エッグ付ジャンボまぐろメンチカツも人気メニューのようだ。

店頭のサンプルショーケースにも味があるこちら。

店内壁面の天井寄りに魚拓が何枚か貼られていた。

手書きメニューの上に絵画が飾られていた。

冨士食堂とこちらは、兄弟筋や親戚筋になる間柄だそう。