竹の家 東京・八王子





薄い藍色の空が梅雨空らしくあるものの朝方の雨も一度上がって、今年の夏の彩りがそろそろ気になり出した頃の、西の空が気持ち明るかった6月半ばの休日月曜日だった。

八王子と言えば以前ご紹介したように昭和34年創業の初富士を祖とする八王子ラーメンを提供するラーメン店が市内の至る所にあって市民に愛されている。しかしそんな八王子駅の傍にはそちらよりも5年早い昭和29年に創業した、今もその地で営業を続けている駅前の良き老舗ラーメン店が在ると言う。

それが何を隠そうこちらで、周辺に在住する社内の方々からその周辺のもう一店と共に教えて頂き、知れば知るほどその名声が気になる処となって出掛ける事にした本日だった。

ところで昭和29年創業の竹の家と言えば、同じ年に創業したのが竹岡式の祖である梅乃家であり、八王子ラーメンでは無いこちらだがそんなラーメンと共通点が交錯する千葉竹岡と東京八王子に因縁めいたものを感じてしまうのは私だけなのか。

そんなわけでまた中央線快速電車に乗って、立川の先の八王子へやって来た。その昔は路面電車が走っていた市内で、昔から商業の盛んな多摩の一大都市だ。

地形的な事があるのか市内は軽い雨が降り出していて、アスファルトも色が変わらない程度に濡れていた。そんな中を八王子駅の北口に出て、左斜め前方の西放射線ユーロードをしばし歩けば、風情のいい店頭がまもなく右手に見えて来た。

店先には緑色の暖簾が掛かっていて、そんな店先の入り口の上には、オートボイル式と言う文字が躍っていた。直ぐ日本語に変換できないまま入店して行くと、お店の方々が元気な挨拶で迎えてくれた。

前精算方式らしくレジの場所でラーメンの代金を支払うと小さなプレートを手渡してくれた。特にメニュー名が書いているもので無く、形と色で判るようなしくみのものだった。

そんなプレートを持ちながら振り返り、オートボイル式とは何かを確認すると、厨房におられた若いお兄さんが「これです」と入り口寄りにあった自動麺ゆで機を指さして教えてくれた。

これが直径2m近くある大掛かりなもので、麺を入れるテボが15個前後ラインに固定されていた。一定時間熱湯の中を通過してから、自動でドンブリの中にその麺が入って行くシステムだった。

席へ戻ろうとするとこれまた大きな釜があり、そこではスープがグツグツと煮立っていて、なるほどこれが公式サイトにあった508リットルの巨大な大釜のようだった。大量の様々な食材が表面に現れては下に沈んで行った。

若いお兄さんに話し掛けて世間話しをするとこちらの三代目の方だそうで、現在は二代目の親父さんと一緒に仕事をしているのだそう。そんな事を知ると、少し前に初代の方があまりにも元気すぎて店主の座を2代目3代目から奪還したお店を思い出してしまうが、こちらはそんな事もなく順調に代継ぎした処だろう。程なく到着。

なるほどビジュアルからして、明らかに八王子ラーメンとは違うもの。あらかじめ本日伺う2店夫々のラーメンのイメージが判ったので、ラードが少ないこちらへ先に来たわけだが、やはり先に来て正解だったと思うものであった。

それではと行かせて貰えば、これが昭和と言う時代が息づく往年の味わいがありながらも、なんとも独特なシフトが感じられる所もあって、実に風情豊かな美味しさが表出していた中華そばと言えた。

豚骨・鶏ガラ・煮干し・昆布に香味野菜をたっぷり利用しているようで、煮干しは頭やハラワタも利用しており現代の煮干しラーメンと同じ手法が感じられるもの。

中太ちぢれの麺はまだ冷蔵庫が普及していなかった頃の麺で、その昔は都内でも多く見受けられたものだが最近ではかなり消えてしまった。こんなところで出会えるとは、思っても見なかった。メンマやチャーシューも、熟成させて提供する仕様のものらしい。

名前ばかりが老舗と謳われるラーメン店も有る中で、本当の創業当時のラーメンの味わいを現在に残す貴重な一店と言えそうな実に素晴らしいシフトのこちらだった。それは気がつけば完食だった。いや、なかなかにかなり良かった、老舗らしい味わいの素敵な中華そばだった。

(左フォト) ラーメン/店舗外観/店舗周辺の遠景 (2011.06.13)


 ラーメン専門店 竹の家 (たけのや)   ※公式サイトはこちら

 住所:東京都八王子市中町4-2  TEL0426-42-5450

 定休日:水曜日・第3木曜日  営業時間:10:00〜19:30

 アクセス:JR中央線八王子駅北口下車。西放射線ユーロードを歩いて行った、駅から二つ目の
       交差点の先の右側にあり。



  2011.06.13 オートボイル式の自動麺ゆで機   2011.06.13 508リットルの巨大な大釜で炊くスープ。



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