麺 ろく月 東京・浅草橋





気温は高原のように涼やかで、青空を隠す雲は灰白の濃淡をつけて広がっていた、まだ夏の匂いが街角に残る九月長月前半の水曜日。

怒涛の大雨さえ見られた日中だったようだが、今日も仕事が終わって外に出れば、そんな雨もほぼ終息に向かっていて、降る小雨も徐々に傘が不要になるほどの午後七時過ぎだった。

こちらの存在をつい最近になって知るところとなり、そのこだわり具合に思わず善は急げとなって仕事帰り立ち寄ることにした。そんなわけで、JR浅草橋駅からそう遠くないその店頭へやって来た。ちょうど店に着く頃に雨が上がっていた。

ネットによれば2013年9月26日にオープンした、博多豚骨では無いこだわり無化調豚骨らーめんを提供するこちらのようだ。

さっそく入店すると今しがたまで雨模様で、住宅街の雰囲気を持つ周辺の何処か隠れ家的な佇まいながら、数人の先客が美味しそうにラーメンを啜る音が小刻みに響くこちらの店内が広がっていた。

目の前に小型の券売機が設けられていて、そこで特製ろく月のボタンを選択。奥寄りの店主らしき方が居る傍のカウンター席に腰掛けながらチケットをその方に手渡した。

券売機の傍のテーブルに「当店は化学調味料を使用しないまろやかな味わいのラーメンです。パンチを求めないで下さい。麺の固めお奨めしていません。」と言う異彩を放つ案内があった。隣りの方は常連さんらしく、店主と世間話しに花が咲いていた。

奥の壁にはルーレットを模したような掛け時計があった。店主のブログによれば開店祝いで貰った、イタリアのアンティーク時計らしい。その厨房寄りの床には、菅野製麺所のプラスチック製でオレンジ色の麺箱が積まれて置いてあった。程なく到着。

具材が在り来たりでないところがまた素敵と言えて、チャーシュー2枚に味玉のほかヤングコーンにアスパラとオクラが添えられており、さらに海苔2枚と白髪ねぎも入っていた。それではと行かせて貰えば、なるほどなかなか素晴らしい持ち味が実に素敵なものでたまらないもの。

丁寧に時間と手間と内に秘めた情熱をかけ、下処理をすることによりコクと旨味だけを抽出させた豚骨スープに、昆布とあさりをベースにほのかに香る醤油を使用したカエシだそう。

なるほどと言えるまろやかな豚骨スープで、麺は細ストレートの博多豚骨風な要素がありながらもまた違ったテイストが感じられ、その絶妙にして類い稀なる風合いに唸るしかなかった。しばらくすると常連さんを含めた先客全員が、ドアを開いて夜の帳に消えて行った。

その度に気持ちの通った言葉で、帰って行く入店客に挨拶している店主が素晴らしかった。こうなれば替え玉も行ってしまえとなるもので、再度券売機の前に立つと替え玉の他に和え玉なるものを見つけて、こちらにもあるのかと驚きながらそのチケットを購入。

一人厨房に立つ店主に替え玉を買う申請をしてから券売機に行ったが、確認してから和え玉のチケットを買ったことを聞こえるように報告した。席に戻って程なくしてそれはやって来た。

やはり細ストレートの麺でそれを和えそばのように魚粉を加えたようなカエシと絡め刻んだ青ネギが添えられていた。まずはスープに入れずそれだけで愉しんで欲しいとのことで口にすれば、それだけでも確かに美味しく頂けるもので良かった。

後半はスープに投入して下さいとそうすれば、オリジナリティが高い魚介醤油豚骨らーめんとなっていて、これはもうカルチャーショックさえ感じるほど素敵だった。

店主の誕生月や記念日辺りから名付けたような、そんな店名だろうかと思ってお聞きして見るとこれが全然違っていた。最初は店主自ら口を開くこともなかったので食い下がっていると、くつろぎの文字をばらしてさまになるこの店名としたことを教えてくれた。

なるほど。気がつけば完食。いや、かなりとんでもなく絶大に素晴らしく途方もなくどこまでも確実に良かった。

(左フォト) 店舗遠景/特製ろく月/和え玉 (2014.09.10)


 麺 ろく月 (ロクツキ)

 住所:東京都台東区浅草橋2-4-5  TEL03-3865-6011  ※店主ツィッターはこちら

 定休日:日曜・祝日  営業時間:11:30~14:00/18:00~22:00 ※土曜~22:00

 アクセス:JR総武線浅草橋駅東口下車。東口前の江戸通りを蔵前方面に100mほど進んだ柳橋
       二丁目交差点を左折。三つめの右路地を曲がって程ない右側にあり。



2013年9月26日にオープンした無化調豚骨らーめん店。

入口前に佇むフォトが横にある券売機。

麺の硬さが選べない、そんな豚骨ラーメン店だそう。

薀蓄が整理されて、さりげなく置いてあった。

奥にある掛け時計は、イタリアのアンティーク時計らしい。

浅草橋の路地裏に佇む人気無化調豚骨らーめん店。