来集軒 東京・御徒町


昭和通りに出たら渡って、この道を入って行く。

店内のお品書き。

レトロな扇風機が、店内に涼を呼んでいた。

卓上のコショーとラー油など。

もうすぐ夏期休業となるこちらだ。

最寄り駅はJR山手線御徒町駅で南口から徒歩圏内。







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強い南風が木々を揺らして、抜けるような青空から強い陽射しが煌めいていた、そんな八月葉月上旬猛暑の日々が続く一日の休日火曜日だった。

勤務先がまた秋葉原となって御徒町に足を向ける機会が増えて来たが、それだけにこちらにもまた出掛けて見るかとなって訪ねることにした。

そんなわけで秋葉原で下のホームに下りて来た電車に乗車。うっかり快速運転している京浜東北線に乗ってしまい、上野で直ぐ戻って御徒町の街に降り立った。猛暑は人の思考を鈍らせる。(暑さの所為にしない)

と言うわけで先日来たばかりの某店を横目に、そのすえひろレンガ通りをさらに奥へ歩いて行きこちらへやって来た。

本家は製麺所創業明治43年で、中華料理部門が昭和27年から始まった浅草来集軒だ。現在の加須元町来集軒が昭和3年に入谷で来集軒一号店として開業し、昭和16年に現在の地へ移転している。

さっそく入店するとこの暑いさなかだがエアコンの無い店内で、ずいぶん前の型式にしか見えないナショナルのロゴが入った扇風機が、壁面の小さい棚に載せられて首振り運転しながら店内の隅々に風を送っていた。

ちょうど常連さんらしき方と同じ頃に入ったが空いた席を見つける私に対して、その方は手慣れた様子で厨房入口まで進んでオーダーを済ませてから空いたテーブル席に腰掛けていた。

そんなルールかとなって席に座らず私も厨房まで行き、予定通りワンタンメンと共に、以前から気になっていたソースチャーハンも一緒にお願いした。

ふと見ると傍の壁面に夏期休業として、8月10日から9月30日までお休みとなることが記されていた。お母さんがかなりのご高齢なだけに、とても理解できる休業で本当に無理しないで欲しいと思う。

今朝は何処に往くか随分と悩んだものだが、こちらはもうしばらくしてからにするかとも考えたが今回来て正解であった。

エアコンが効いていない店内だが、扇風機が傍にあったこともあってかそう暑く感じることはなかった。

以前の時にこちらの開業年を確認させて頂いたが、本家浅草来集軒が中華部門を始めて、翌年には当時竹町と呼ばれていた御徒町のこちらが開業していると聞くから、やはり昭和28年開業なのだろう。

しばらく前に首都圏に点在する多くの来集軒を訪ねて、その関係者の方々から色々なことを知ることが出来た。東大島来集軒の店主は、以前に閉店してしまった蔵前来集軒で修業された方だった。

旧隅田町来集軒から派生した日本堤店系来集軒は多くの来集軒を開業させて行ったと聞くが、その張本人の店主がなんと堀切来集軒を現在営業していると言うから驚きだ。

昭和62年頃に本家浅草来集軒が閉店するとして新聞記事にもなったほどだったが、一度閉店したものの血縁関係の方が存続させて現在に至っている。程なく到着。

最初は特に何も足さず、そのまま口にして行く。そこは連綿と続く東京ラーメンのその代表格とも言える、来集軒の中華そばだけにたまらないその味わい。

後半になってから卓上のコショーとラー油を、そこそこだけ投入してさらに堪能して行った。ワンタンがそれにして良い風情だ。麺は前回とはまた違う面持ちで、もうしかしたら変えたのだろうか。

ソースチャーハンが具体的にどんな味わいかよく判らなかったが、こうして口にしてその良さが実に明瞭となった。言わば大衆洋食のチキンライスと、ほぼ同じしみじみとした美味しさが素敵だった。

玉ネギが多めに入っている所為でそう感じるわけだが、いや、そもそもこれほどまでに美味しい、チキンライスを食したは今まで無かったと言えるほど。

それだけに、気がつけば完食だった。精算を済ませて外へ出ると、隣りの青果店の店先には大きなスイカが幾つも並べられていた。いや、かなり絶大に途轍もなく、素晴らしく果てなく実に良かった。

(左フォト) 店頭/ワンタンメン/ソースチャーハン (2014.08.05)


 来集軒@御徒町

 住所:東京都台東区台東2-31-9  TEL03-3831-3593

 定休日:水曜・木曜・日曜・祝日  営業時間:11:30〜15:30

 アクセス:JR山手線御徒町駅南口下車。秋葉原方面にガード下の道を歩き、三つ目の十字路を左
       折して仲御一通りを歩き昭和通りに出て横断歩道を渡って入口にある御徒町小町食堂が
       あるすえひろレンガ通りを入って200m先の右側にあり。


午前中は亀戸から東武支線電車に乗り、墨田京島の来集軒を訪れて、本家浅草来集軒との繋がりがしっかりあったことを確認した。

ミニチャーハンも口にしたが、もう一杯くらいなら大丈夫だろうと、予定通りかなりの歴史があるらしい御徒町店の方へそのまま移動した。

総武線電車に乗って、秋葉原で下車。ちょっとした買い物を済ませて、秋葉原でも徒歩圏内だったので、少し歩いたがそう遠いと言うこともなくその店頭へやって来た。

白地に赤で中華そばと記された暖簾が軽く揺れて、幾つかの植木鉢が配置された店先だった。

正午過ぎのランチタイムのいい時間だけに全てのテーブル席が埋まっていたが、ちょうど先客の一人の方が食事を終え精算を済ませて帰って行かれ、その空いた席にこれ幸いと腰を下ろした。

さてメニューはいずこ?と探せば、ちょうど死角になっていた右の壁後方の天井近くにそれがあり、やむなく一度立って提供メニューを確認。

そしてこんな風情のあるこちらならさぞかしチャーシューがうまかろうと経験上知っていたので、二軒目ながら思い切って850円と明記されたチャシューワンタンめんを注文した。

御徒町界隈は戦後まもないころ竹町と言われた町名で、八広の店の大鏡にも竹町来集軒として紹介されている。

昭和26年創業時に贈られた大鏡に店名があるだけに、それ以前の創業と考えるのが順当だ。しかし必ずしも、そうとは限らないとも言える。

配膳は先代店主の奥様らしき方がおこなっていて、奥の厨房ではその娘さんらしきお姉さんが麺上げなどを対応されていた。

来集軒初代料理長だった店主の来集軒のようだが、6年前にその店主は残念ながら他界されてしまったそうだ。本日も俳優・三国連太郎氏の訃報があり、名優がまたこの世から去ってしまった。

程なく到着。これは予測以上に美味しそうなチャーシューが横たわった、もう見た目からしてたまらんラーメンがやって来た。思わず自分のラーメンで良かったと思った。

それではと行かせて貰えば、それはもうとにかく至福のひととき以外のなにものでもない、素敵な美味しさと言うしかないもの。

チャーシューはどれもが分厚く、溺れそうなほど、しこたま入っていた。ワンタンもレトロな風合いが実になかなか良かった。

麺はその昔の秋葉原松楽の丸平打ち麺に近く、これぞ知る人ぞ知る良き昭和の中華そばだと言えた。

たまたまだろう後続客がそう続かなかったので、お昼のいい時間ながら、結構色々とお店の方とお話しすることができた。

鰻屋?の隣りの来集軒が開業してそこで手伝い初めて、まもなく営業を始めたから昭和28年創業となるこちらだそう。

最初はもっと後年の開業のお話しだったが、厨房におられたお姉さんも手が空いたところでお話しに加わって頂き、お話しを整理して行くと昭和28年で落ち着いた。

鰻屋の隣りとは上野鴬谷寄りの一号店なのか、はたまた浅草滝泉寺なのか浅草桂町なのか、そこら辺もお聞きすると浅草本家のことだそうで、なるほど霧がここでまた晴れた。

おそらく八広の創業記念大鏡は、後から支店の地名が書き足されたものなのだろう。

そうすると本家も中華部門を始めており、そもそも戦後まもない頃の物資不足の状況が続く中の昭和26年にぽんぽんと10店舗営業していたとは考えにくい。

本店の中華部門は遅かったが、ともあれ当たり前だが今日の暖簾分けは、その昔の本店によってしっかり管理されていたものだった。

昭和通りに出ると季節柄らしく赤いツツジが咲き乱れていた。いや、かなり果てなくとんでもなく、確実にとても良かった。

(左フォト) 店舗/チャシューワンタンめん/周辺の昭和通り (2013.04.15)