中華料理 喜楽 東京・大森





それほどまとまった雨雲でも無い雨模様の天候が予測されて、曇天の空が梅雨空のように陽射しを塞いでいた12月前半の木曜日。

そんな今日も仕事が終わって外に出れば、そんな予報通りの微量の霧雨が時折りそぼ降る師走にしては暖かい午後8時過ぎだった。

しばらく前に渋谷が勤務先だった時に渋谷喜楽へ何度となく訪れたものだったが、以前に新馬場某店の関連店が大森にオープンして訪れた際、偶然にも同じ店名のこちらを見つけた事があった。

提供されるラーメンには渋谷と同じような揚げネギが浮いているらしく、少なからずその渋谷とこちらは関係があるようだった。そのうち出掛けて見ようと思っていたが、そうこうしている内に月日は流れ、結局まだその暖簾を潜り抜けてはいなかった。

たまに思い起こすと「渋谷とはどう関係しているのか?」と言う言葉だけが浮遊するのみだった。暖簾分けだけで店舗は増殖するわけで無く、そこはお店の方に聞いて見るのが一番だ。

そんなわけで会社帰りに訪れる事が出来る事に気づいて、立ち寄ってみる事にした今夜だった。川崎まで湘南電車に乗ってそこから京浜東北線電車に乗り換え、また夜の帷が下りた大森で途中下車した。

新馬場関連店があった場所は、いつのまにか居酒屋になっていた。そこを少しだけ歩けば、店名が表記されていた、橙色のビニールシートが軽く濡れていたこちらが風情良く佇んでいた。さっそく入店すれば何処にでもあるような大衆中華店のこちら。

思わずかなり昔に同じ店名に入店して、似ても似つかぬ味わいによくある名前だけに止もう得ないと一人納得した事が去来した。空いていたテーブル席に促されると、背中から地元のサラリーマンの宴会で盛り上がる声が幾つも聞こえて来た。

その他のテーブルも殆どが埋まっていて、こんな天気でも大変盛況なこちらであった。そんな中そのサラリーマンの方々の向こうに見えるメニューボードを見上げて、そこから少し悩んだ末にワンタンメンを大盛でお願いする事にした。

ふと見ると直ぐ傍に女将さんらしき方がおられて、これ幸いと渋谷喜楽とこちらが関係あるのかお聞きして見ると、これが大変に興味深い話しをお聞きする事が出来た。渋谷喜楽と大森喜楽の先代店主は、古いつきあいのある友人同士だったらしい。

まず大森店主の方が台湾から医者になる夢を持って上京したのだそう。しかし医者になれず、その後生活に困ってこちらを開店させたのだそう。渋谷喜楽先代店主とこちらの先代店主は長い間交流があったらしい。

そんな間の中で渋谷は土地柄もあってか大変に有名なお店となって、こちらは特にそんな事もなく今日まで地味に営業して来たそう。程なく到着。

ちゅるんと来そうなワンタンが多めに乗って、モヤシに揚げネギに半栽カタ茹で味玉が乗りなるほど渋谷を彷彿とするビジュアルだ。

それではと行かせて貰えば、実に味わいのいい醤油スープにヤワメな中細麺で、昭和と言う時代の良き傍観者のような奥深ささえも感じられる美味しさだった。大盛りながら気がつけば完食。

既にこちらは60年以上の歴史があるのだそう?渋谷喜楽は昭和27年創業で、今年で59歳の老舗店だ。するとこちらの方が先に創業した事になり、それをさりげなく教えていた女将さんだった。

そう言えば周辺の大井町には永楽と言う渋谷喜楽で修業したとされるお店があるが、それが本当に渋谷であったのか?大森ではなかったのか?それをはっきりさせる人を私は知らない。

女将さんにお礼を伝えて代金を精算し、「有名になることが幸せな道とは限らないですよ」と、そこはもちろん喋らず言葉を飲みこんで霧雨にむせぶ夜の大森を後にした。いや、とんでもなく素晴らしく味わい深い、かなり果てしなく美味かったワンタンメン大盛だった。

(左フォト) ワンタンメン大盛/店内/店頭外観 (2011.12.08) 


 中華料理 喜楽@大森

 住所:東京都大田区大森北1-7-4  TEL03-3761-9659

 定休日:日曜日  営業時間:11:45〜14:00/17:00〜22:30 ※土曜祝日〜22:00

 アクセス:JR京浜東北線東口下車。階段を降りたら右手の横浜方面へ歩いて行き、ガードに沿って
       歩いて行った右側にあり。



喜劇らーめん食べ歩きTOP