吉法師 東京・福生







晴天ながらモヤついた天候に淡いものの陽射しがはっきりと感じられて、初夏とも思える風が気温もあって煌めいていた5月前半ゴールデンウィーク明けの月曜日の朝方だった。

昨日は関東でも気温が25度を超えて実際に夏日となったようで、今日もそんな気配を感じたがそれでも穏やかに暖かい午前中。今日はまた立川市内に所用があって出掛けた日だった。

その前にラーメンと言うわけで、ふと一度訪れてまた行って見たい一店だったので、立川のホームで青梅行きに乗り継いでこちらへ向かった。そんなわけで福生にまたやって来た。

東口側へ出て西友に隣接するスカイウォークを歩いて、やなぎ通りに出て前回と違うルートで向かった。こちらの方がショートカットになりそうだ。今日も20度は超えそうだが、夏日までにはならない気配。

出光のガソリンスタンドが見えて来ればまもなく。産業通りはたまに勢いよく乗用車が行き過ぎる程度で、特に渋滞が出来る事もなさそうな道路だった。

引き戸が開いていて、折りしの初夏を想わせる風が、ひと足先に入店していた店内だった。中へ入ると一番手前に話し込んだ店主が直ぐおられて思わず御挨拶。

そして振り返ると今日も満艦飾なインフォに埋まった券売機に悩むこと頻りの店先だった。前回はつけ麺だったが券売機のボタンにはラーメンもあったので、今回はラーメン系で行こうと思っていた。

以前の時は「焼き肉つけ麺」と言う限定だったがそれは右のボタンにずれながらも存在しつつ、新しい限定らしい「とり肉つけ麺」のまた誘うインフォがあってそちらも良さそうだった。

そんな中でラーメン系ボタン群に「とんこつ」の文字を見つけた。人気No.10のコテコテトンコツとも付記されていた「とんこつ野菜」で、そのボタンと共にチャシュー飯も連打。

一番手前の一番奥の席が空いていたので、そこに促される感じになって腰を降ろした。すぐ左隣りは壁と言う場所で、今まで店主が訪問して来た主にラーメン店などのレポートが筆書きで紹介されている。例えばとあるお店はこうだ。

「八坂神社奥、知恩さん入口にある店。江戸時代より続く“いもぼう“の料亭。いもは京野菜の海老いも、ぼうは北海道のたら。一緒に煮込むと美味だ。大昔、知恩院を参拝する人達のごちそうだったらしい。全室個室、土間を歩いて傾きかけた小部屋で頂く。京都はいい・・・。」

地方のお店はよく判らないが、なんとも言えない絶妙な語り口の文章にも味があった。また店名の由来を紹介する内容を記した張り紙もあって、織田信長の幼少の頃の名前からだそう。

店名に勇気づけられるらしく、気に入られているようだった。なお本能寺で終わってしまう事は、あまり気にしないで命名されたよう。程なく到着。

このラーメンのスープは全てのメニューのベースで利用しているものだそう。それではと行かせて貰えば、その味わいは野菜も入っていて何処か味噌味風だった。

複雑多面的な味わいは、そんなこのラーメンでも同じだった。ただ以前のメニューよりは、ベースの深みを感じ取れた。

チャーシューや洗濯板のような極太メンマも美味しいもの。やはり納得させるものがあって実に良かった。チャシュー飯も、またいい部位の肉を利用した感じで、かなりの美味しさだった。

時につけ麺の際にスープ割りを楽しむ事を本番と表現していた店主だが、オーダーメニューが到着した際にラーメンでも最後に本番があるようだった。

麺が無くなる頃そう告げるとレンゲごと容器を持って行かれ、まもなくグツグツと煮え立った容器が戻って来た。その容器の中を見れば、楕円の形状をした高熱の鉄にライスとチーズが足されていた。

サービスで最後にリゾットが愉しめるとは粋な計らいで、チャーシュー丼もあったのでさらなる満腹感となった吉法師の店内であった。気がつけば完食。いや、今回もまたかなり良かった。

なお午後は施設にいる母の元へ行き、そこで車椅子を借りてタクシーで昭和記念公園へ二人で出掛けた。ふと幼少の頃母に連れられて浅草で映画を見に行った記憶が蘇る。

さりげなくその事を話すと、既に母の記憶からはとうに消えていた。風が強くなって来た事もあって、早めに帰る事にした。 光陰矢の如し。 夏もそう遠く、なくなって来た。

(左フォト) とんこつ野菜/チャシュー飯/店舗外観 (2011.05.09)


  2011.05.09 精算後うまい棒をお一人様一本もれなくプレゼント。   2011.05.09 店内は賑やかだが、気がつかないで通り過ぎているかも。







福生一番系の前向きな店名のラーメン店で、その系統の源流を作った店主のラーメン店が直ぐ近くにある事を教えて頂いた。ここを出て産業道路を曲がってそう遠くないそうで、それならば早速寄って見ようと詳しくケータイで調べる事なくそこへ向かった。

さあどこだろうと歩いて行き、五分程経った頃だろうか。直ぐに2軒のラーメン店があったので、どちらかだろうと安心したがどちらも違う店名。止む得ずケータイで調べれば、結構かなり先だった。

おそらく今の店主は私がここまで自家用車で来たのだろうと思ったのか。確かにそれならあっと言う間の距離だが徒歩で行けば30分強で、まあいい腹ごなしになったと言うしかなかった。

店頭にやっと到着すれば丁度大きく「麺のナカニシ」と文字が入った中西食品株式会社の配送車に乗って来た方が、店先にあった空の麺箱を下げて新しい麺が入った麺箱を置いていた最中だった。周辺の一番系のラーメン店は、殆どが中西さんの麺を利用しているそう。

そこでその配送のお兄さんに思わず質問してしまった事と言えば、前向きな店名のラーメン店から迷って歩いてここまで来たので、JR福生駅はどちらの方角へ歩けば良いのかだった。大変優しく判り易く教えて頂き、あなたのお店のオリジナル麺作ります、中西食品万歳!と言うしかなかった。

さて麺の配送車を見送り、店頭撮影を済ませて入店し、券売機の前に立った。一つ前のお店でその店主から、つけ麺がウリとお聞きしていた。イチオシは焼き肉つけ麺となっていたが、流石に連食の身にそれは厳しいので、その下にあった「とろつけ麺」を選んだ私だった。

店頭は和の落ち着いた風情に胸を撫で下ろしたが、こちらもまたなかなかの派手と言うよりは賑やかな店内インフォメーション。こうしたインフォも福生一番系の特徴の一つと言った処だろうか。振り返ると目の前のカウンター席が空いていて、チケットを手渡すと麺がまたこちらも選べるそう。

うどんぽっい白麺、春よ来いの国産小麦麺、年明けから登場したらしい兎に角コシが強いらしい極太の黄金麺などとあったが、高級国産小麦らしい全粒粉麺をお願いしてから腰掛けた。程なく到着。

つけ汁には白いトロロが乗せられ、全粒粉らしい色の麺の上には、大判の海苔、極太メンマ2ケ、炙った感じのバラロールのチャーシューにカイワレ。

それではと行かせて貰えば豚骨に魚介にアボガドも入っているそうで、酸味が利いてそれが食欲を湧かせて来て何とも美味しい味わいだった。中太の全粒粉麺は適度なコシが良く瑞々しさが良い風情で、汁は麺を置いても沈まない程の瀞み。メンマはやや甘みが強いもので個性的な持ち味が在った。

前訪問店の店主のお話しも後半付け加えると、昭和61年頃にラーメン一番を福生市加美平の地にオープンさせたそうで、以前は20人以上の方を雇っていたそう。しかし平成18年頃そのグループを解散させ、それぞれが独立して現在に至っているそう。

最近西立川にも暖簾分けのお店を見つけて早稲田にも出掛けたメルシーでラーメンに目覚めた店主だそうで、渋谷喜楽の木造家屋時代を知っている事をお話しするとえらく懐かしがっておられた。しばらくの間そんな店主とラーメン談義に花が咲いた店内だった。

話し込んだ後で麺を完食させてスープ割りの段になると、こちらではそれを本番と言われており一瞬たじろいだが、さっぱりスープ割り、味噌焼きバターのコク味噌、食べるラー油も入れる韓国風トロ割りもあったが、ワサビも入れる和風トロ割りでお願いした。すると焼いた鉄が入れられてグツグツ煮立っていてトロロが加えられたものが来て美味しく頂いた。

ちなみに店主は40年間で国内各地の3000軒オーバーの店を訪問した経験の持ち主だそう。ラーメンも最近はお奨めだそうで、麺も色々あって気になる処。いや、とんでもなく良かったこちらであった。

(左フォト) とろつけ麺(汁・麺)/券売機ボタン (2011.02.10)


 吉法師 (きっぽうし)

 住所:東京都福生市武蔵野台2-17-56  TEL042-513-3291

 定休日:水曜日  営業時間:11:30〜15:00/17:30〜22:00 ※材料終了時閉店

 アクセス:JR青梅線福生駅東口下車。駅前の西友の奥のやなぎ通りを左手に進んで行く。変則的
       な交差点の奥の加美郵便局十字路を右折して武蔵野台通りを入る。道なりに進むと産業
       通りに出るので、そこを左折して少し歩いた左側にあり。



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