福ヤ 東京・麻布十番







青い空が一面に広がって、秋と言う名の空間が徐々に深まり始めた感の在る、見上げれば大きな雲がゆったりと浮遊して、それでもまだ初秋爛漫と言えた十月初旬の土曜日だった。

実は有楽町での仕事は先月で終了となり、次の仕事も決まったものの若干のブランクが生じる処となって、遅い夏休みのここ数日となりそう。

そんな今日はこちらが気になる処となって、出掛ける事にした正午前であった。

最寄り駅の熱海駅までロールス・ロイスで無料送迎してくれるセレブなサービスをしていると言う事で、一躍話題を集めた熱海リラックスリゾートホテルを経営する社長の貞方邦介氏が9月20日からオープンさせた久留米ラーメン店だ。

リラクゼーションスパ事業や外食サービス事業もおこなう株式会社アルカサバの代表取締役社長であり、空間プロデューサーの肩書きも持たれているそんな方らしい。

そんなわけで都営地下鉄大江戸線に乗って、多くの大使館が点在する周辺の麻布十番へやって来た。私から見れば都会で暮らす方々が、余暇をゆったり楽しむ場所と言うイメージが強い界隈だ。

いつものように住所から地図をPCで出力してそれを頼りにして歩くが、今回はそんな場所でも無かったようでそれほど見ずに到着した。

見ると周辺に住んでいる夫婦らしきお二人が入店を待っており、まもなくお店の方が出て来て準備中の大きな札を引っ繰り返してからその方々を引き入れ、その後で暖簾を掛けておられ営業が始まったばかりだった。

後続客が続かなかったようなので、今のうちに外観を撮影してしまえと、そんな状況を少し離れた場所から目視してそれを済ませてから入店した私だった。

中へ入ると厨房寄りのカウンター席へ促されて、その一席に腰掛け、しばしメニューからオーダーを思案。そしてお店の方に声を掛け、半熟味玉ラーメンに塩むすびと焼ギョーザまでお願いして、今日もラーメン店訪問はこちらのみとしたオーダーだった。

久留米出身の貞方邦介氏は少年時代から、大砲ラーメンで修行して昭和48年に創業した大栄ラーメンに通っていたそう。

そんな同店のスープを種にした呼び戻しによるスープだそうで、こちらでは豚頭とゲンコツを炊き込んだものだそうで何と無化調。

豚頭のみを利用した大栄ラーメンに対して、単なるコピーでは無いこだわりのあるオリジナルスープらしい。麺は九州の製麺所から取り寄せている低加水細ストレート。

厨房を覗くとなるほど呼び戻しらしく目の前には大きな羽釜ズンドウが二つもあった。

以前の久留米ラーメンの主流は、この呼び戻しだったが、今では博多等と同じ一般的な取り切り方式が大勢を占めているらしい。程なく到着。

それではと口にして行けば、これが何と言う美味さなのかと言うしかない極上感が舌を襲うもの。そんなモチベーションが最初からやって来るラーメンでなかなか。自然な瀞みにしみじみとした味わいは実に風情が豊か。

さいの目に切った背脂を自信の脂で揚げた、通称カリカリもサクサク来て良かった。

ロールス・ロイスが店頭に横づけする事は今後も無いだろうが、そんなリッチな満足感をこちらでも別次元だが得られた気分があった。

チャーシューもここまで煮込まれた仕様だと何かしら癖が味に付くものだがそんな事もなく、半熟の味付き玉子も食感に至るまで真面目ひとすじな良く出来たものだった。

店長さんは大栄ラーメンで修業した後、都内でもラーメン店のノウハウを学ぶ為更に某店で修業しているらしい。

焼ギョーザも大阪ひとくちタイプで、やはり実に丁寧な仕上げ感があり、外の皮はカリッ肉餡はジューシューゆえにかなり美味しい餃子だった。

塩むすびはしっかり丸く握られていて、山下清画伯がおられたら大喜びするに違いないと言うもので大変良かった。

スープの完成度の高さに、思わず替玉をオーダー。茹でられたモヤシがサービス惣菜で用意されており、それを利用してさらに美味しく頂いた。気がつけば完食だった。

貞方邦介氏の織り成す料理に対する考え方は今に始まった事では無いと言う。

熱海リラックスリゾートホテル内の自然派イタリアンレストラン「NINE」では、飽くなき探求心から繰り広げられる素材を生かした料理が心掛けられ、六本木の「遊庵」なる和食料理店でも新鮮な食材を無添加調理する事に徹底されているそう。

周辺は野口雨情の「赤い靴」のモデルとなったきみちゃんの像もある麻布十番商店街で、多くのお洒落なカフェやレストランに様々なショップが在る。

大使館が多い所為か外国人もよく見受けられ、どちらかと言えば洗練された風情がありそんな街を散歩に訪れる人々も多い。いや、かなり良かった。

(左フォト) 店頭/半熟味玉ラーメン/塩むすび/焼ギョーザ/羽釜ズンドウ (2010.10.02)


 元祖とんこつ久留米ラーメン 福ヤ

 住所:東京都港区麻布十番4-3-1-1F  TEL03-5419-0055

 定休日:無休  営業時間:11:00〜翌5:00 ※スープなくなり次第終了

 アクセス:東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線麻布十番駅下車。一の橋交差点から二の橋
       へ80m程進んだ左手にあり。



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