珍々亭 東京・武蔵境



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今夜は社内の方々の呑み会に参加させて頂いた日だった。最初だけ生ビールを飲み干したが、その後は酒の肴を口にしつつもアイスウーロン茶を数杯嗜んで早めに帰途へ着かせて貰った。

本八幡駅に着いていつもの某店と思い店頭近くまで来たが、やっぱり止めたとなって駅前のコンビニでカップラーメンでも買って帰るかと考え直した。

そこで購入したのが、こちらの店の油そばだった。帰宅して湯を沸かして乾燥具材を入れてからカップの中に湯を注いで、五分後にお湯だけ捨てタレを入れしっかり掻き混ぜて出来上がり。

それではと行かせて貰えば、ゴマラー油の香り立つ素敵な油そばを愉しめることが出来た。気がつけば完食。いや、これはなかなか良かった。

(左フォト) 自宅にて珍々亭油そばカップめん  (2014.07.27)


昨夜からひとしお寒くなった11月半ばの火曜日で、天候も持ち直して朝から燦々と陽が注ぐ、そんな霜月の休日の午前中であった。

時に何年か前まで自宅周辺には、明星食品の子会社が経営するぶぶか本八幡店ぶぶか市川店が営業をしていた時期があった。

今でも四店舗を営業するぶぶかだ。そのお店は武蔵野に根付く油そばをウリにしており、それからこちらの事も知る処となった。

その内出掛けようと思いながらも、近年の新店ラッシュもあって、こちらもまた忘却の彼方となってしまった一店だった。

立川へ通勤するようになって、毎日のように最寄り駅を通過していただけに、天気の良さも手伝って今日こそと出掛ける事にした。そんなわけで今日も休日ながら、通勤電車の路線を利用して通勤途中駅の武蔵境駅へやって来た私だった。

駅からたっぷり住宅街を10分以上歩く場所で、なおかつ昼前から夕方までしか営業しないこちらだけに、休日を利用してやって来た次第だった。

一方通行の狭い道ながら市民バスらしき停留所があるものの、自動車などは殆ど走らない通りを歩いて行く。
その市民バスはムーバスと呼ばれていて、15年前から自治体が運営しているもの。コミュニテイバスの先駆けと言われていて、その概念を日本全国に広めた功績が大きい武蔵野市だ。

そんな通りを真っすぐ進んで行くと、瀟洒な図書館が見えた頃右折して、少し歩けばこちらが在った。

入口上には蜜柑色と檸檬色のストライプのビニールカバーがあり何処か風情があるもので、紺色の暖簾が古き良き時代の名店に相応しい情緒ある佇まいを有していた。

店頭の前の道は人通りが少なかったが、ひとたび店内の戸を開けて中へ入れば、平日ながらまもなく正午と言う時間帯もあってか、ほぼ満員のそれはそれは賑やかで盛況な店内が待っていた。さすが武蔵野名物油そば発祥の店と言うしかなかった。

単独客を確認すると奥の空いたカウンター席に促されて、そこに腰掛けてそれはさりげなくラーメンと油そば両方を食べに来た事を告げた。「じゃ、ラーメンから行きますか?」と来て、そのつもりだったのでそれでお願いする事にした。

ラーメンの後に油そばも行く予定なので、そこでまず並盛の麺量が気になる処だった。そこでこれまたさりげなく油そばは大盛を匂わすフリをして夫々の麺量を確認すると、特大も含めて麺量は225g・300g・375gだそう。

300g程度ならペロリと行けてしまいそうと一旦は思ったものの、これから来るラーメンは、するとたぶん225gで両方並盛でも450gとなってそれでもかなりの麺量となるのだった。程なく到着。

お店のお姉さんが別の事をやっている隙に、店主らしき方が直接ラーメンを持って来てくれた。そのラーメンから放たれたオーラが、まずなかなかと言えた。

やはり麺量は225gを確信出来るビジュアル。そしていつものようにひと通り撮影をして、あらためて箸を携えてラーメンと向き合った。

次の瞬間に思った事は、これが600円?だった。ラードが軽く浮いていてその価値を高めており、ふわりと来るその優雅な香りは、実に食欲を誘うものだった。そしてそのラーメン自体の佇まいは、700円近いラーメンよりも凄かった。

それではと行かせて貰えば、まず太い麺がとんでもない良さを有しており、香味野菜から来る醤油スープの真価を、それ以上に舌へ伝えて来るものだった。

メンマにチャーシューも感動超特急クラスで、ラードはスープの熱を逃さない役目も果たしていて、実に熱々で美味しい中華そば。

いい麺量ながら、気がつけば完食であった。さて次は油そばとなって、小声で片手を顔に近づけながら「やっぱり並盛で」と告げてオーダー。正午を過ぎて外には待ち列も出来ていた。程なく到着。

見た目には他店とそう変わらない油そばだ。春先頃の勤務先は渋谷で、けっこう油そばのお店があった事が到着した油そばを見てフラッシュバックした。そしてそれに加えてぶぶかの油そばの味も意図的に思い起こさせた。

こちらはラー油とお酢を振りかけなくても愉しめたようだったが、ついクセで軽くそれらを回し掛けてからそれに気が付いた。

それではとまた行かせて貰えば、なるほどこれが元祖油そばかと唸りたくなる程の圧倒感が在った。

渋谷でいい油そばに出会ったものだが、その遥かな歴史を裏打ちする美味しさに、全ての油そばの頂点にすぐさま君臨して立つ味わいと言えた。

ドンブリの下にはラーメンのスープを濃くしたものに、特製ラード等が入っている感じだった。ぶぶかと似たようなものだろうと漠然と思っていたが、全く以て違う味わいに目からウロコならぬ、ロコモコでも出そうな程と言えるくらい違っていた。

オーダー2品目ながらその旨さから、これまた気がつけば完食だった。油そば発祥の店は、ラーメンもまた美味だった。

昭和29年創業のこちらだが、当初はラーメンだけだったそうで、昭和33年頃先代店主がお客の酒のつまみの要望に、上海の中華料理店の賄い料理をヒントに提供したのが始まりだそう。

そんな誕生秘話を知ると思わず東池袋大勝軒のもりそばと同じ時期に出来て、キーワードがやはり同じ賄いだけに感慨深いものがあった。いや、ラーメンも油そばも、かなりとんでもなく良かった。

(左フォト) ラーメン/油そば/店舗外観/市内を快走するムーバス (2010.11.16)


 珍々亭 (チンチンテイ)

 住所:東京都武蔵野市境5-17-21  TEL0422-51-2041

 定休日:日曜・祭日  営業時間:11:00〜16:30頃 ※麺が売り切れると閉店

 アクセス:JR中央線武蔵境駅北口下車。駅前線路沿い左手の道を進んで変則十字路を右折。
       線路を潜ってセブンイレブンを左折する。600m程歩いて西部図書館が見える交差点を
       右折して100m程進んだ左側にあり。徒歩およそ13分。

       またはムーバス境西循環路線を利用。蔵境北口停留所から乗車して、都営境五丁目
       アパート停留所で降車して直ぐそばにあり。バスは15分毎に運行。