甘味 あづま 東京・高円寺





霞んで何処か淀んだ大空ながら淡い陽射しが街角に注いで、気温が初夏を想わせるほど上がる予報が出ていた四月卯月半ばの水曜日。

今日も仕事が終わって外に出れば、穏やかな夜風が今夜も春を感じさせ心地良かったそんな午後七時過ぎだった。

高円寺中通商店街の中ほどで営業している老舗甘味処のこちらで、ラーメンも提供していることを先日知って今回仕事帰り立ち寄って見ることにした。

これまでも甘味処でラーメンを提供している店は多々紹介させて頂いているが、それにしても何故ゆえにこうも多いのかいつも謎は深まるばかりだ。

そんなわけでまたしても高円寺で降り立ち、そんな中通商店街を歩いて行きその店頭へやって来た。先日も同じ商店街の中で営業している店を訪れたが、実は勘違いして行き過ぎてしまい、こちらの店先も通り過ぎたことがあった。

入口にサンプルショーケースがあり、あんみつやぜんざいにところてんが置かれていて、その最下段にラーメン類やカレーライスに焼き飯が並んでいた。

さっそく入店すると、女将さんに周辺のご友人らしき方が奥におられるそんな店内が広がっていた。壁面にあるお品書きをじっくり見てから、中華ソバをお願いすることにした。

ふと見ると女子ラーメン部と言う名前のラーメン雑誌が目の前にあり、手にとってページをぱらぱらとめくって行くと、こちらが紹介されている部分がボールペンで大きく目印を付けていた。昔ながらの中華そばと30種類以上の和風デザートがあることを案内していた。

戦前から新橋にあった本家と共に、銀座四丁目三越の傍にもに当時営業していた甘味処だそうで、ラーメンもそちら譲りのこだわり中華そばだそう。

こちらは銀座の店で修業された店主が暖簾分けを許され、1969年である昭和44年の3月8日に開業させたらしい。

戦後に開店した京橋店が本家を引き継いで行ったようで、国内に広く暖簾分け店を輩出したそうだが、そんな京橋店さえ既に五年ほど前に閉店してしまったようだ。

新橋本家を祖として銀座店や京橋店から連綿と続いた甘味あづまは、現在この高円寺店が営業しているくらいだそう。程なく到着。コショーの容器が中華ソバと共にお盆に乗せられてやって来た。

少し前に常連さんが来店して私の隣りのテーブル席に腰掛け、磯部巻きを「醤油をたっぷり付けて」と言って注文していたが、その方が「コショーは掛けてから食べた方がいいよ」と教えてくれた。

思わず御礼の言葉を投げ掛けてから言われた通りに中華そばにコショーを振った。するとこちらの銀座店のことを昨日訪れたばかりのように鮮明な描写を付け加えてその店のことの幾つかのことを教えてくれた。小豆が入った小倉アイスが高額だったこととかそんなことだった。

それではと行かせて貰えば、これがしみじみとした滋味深い素敵なあっさりした味わい感がたまらないもの。中華麺は少し時間を置いてしまったこともあってか柔らかめだった。気がつけば完食。

昭和初期の銀座四丁目三越の傍に昔あった甘味処で、中華そばを提供していたことをこちらでお聞きした時、先述したなぜ甘味処で中華そばを提供する店が多いのかが判った気がした。

マクドナルドが第1号店をそこにオープンさせたように、毎年地価日本一がほぼ銀座四丁目であるように、そこは日本で一番のトレンド発信の地であるだけに、それが戦前から国内に広まって行ったと言う仮説もあながちではないと言えるだろう。閑話休題。

鶏ガラと豚ガラでとったスープだそう。いや、それにしてもしみじみとして実に本当にとてもかなり果てなく素敵で良かった。

(左フォト) 中華ソバ/サンプルショーケース/店舗外観 (2014.04.16)


 甘味 あづま@高円寺

 住所:東京都杉並区高円寺北3-2-14  TEL03-3339-0583

 定休日:月曜日  営業時間:12:00〜21:00

 アクセス:JR中央線高円寺駅北口下車。ロータリー左手前の高円寺中通商店街へ入り、100mほど
       進んで行った左側にあり。徒歩およそ4分。