食堂 釜彦 栃木・塩原温泉





時折り暗くなって小雨が降っては晴れ上がり、夏の容赦ない陽射しが街へ注いでいた、そんな八月らしい雲行きが予測出来ない天候を呼んでいた葉月上旬の休日火曜日だった。

以前からよく登場する社内ラーメン通の方から、実はしばらく前から塩原にもスープが入った焼きそばがあることを教えて頂いて気になっていた。

それで直ぐ思い出したのが千葉船橋のソースラーメンであり、青森黒石で根ざすつゆ焼きそばだが、塩原温泉郷にもそんなソース味のラーメンがあるようだ。

最近そういえばクルマを運転していないなとなって、都内の予定をやめてこうなればと出掛けることにした。そんなわけでとりあえずこちらの営業を確認してからレンタカーの予約電話を入れ、かくて一路東北道をひた走ってこちらへ向かった。

暑い陽射しがまぶしいほど降り注ぐかと思えば、山間部に入ると土砂降りの雨がクルマを襲い、ともあれ東北道を下りて国道400号をさらにひた走る。

塩原温泉郷に入るとそんな雨も降っておらず、こちらに行き先をセットしたカーナビが到着を知らせて何処かと見ると、来てそうかしまったと気づいたそこは移転前の建物だった。カーナビを全面的に頼りにしてしまうと、こんな事態になることもあると言うことを知った。

一昨年の10月に那須塩原市塩原264からそう遠くない現在の場所に移転したこちらで、そこの入口には移転先であるこちらまでの判り易い地図が貼ってあった。

それを見るとカーナビを再びセットするまでもなく、それを撮影してその画像を見ながらそう遠くないこちらへやって来た。周辺にはもう一店スープ入焼そばを提供する「こばや食堂」なるお店があるようだ。

駐車場は結構広く、そこにそこそこの自家用車が停まっていた。さっそく入店すると入口にノートが置かれてあり、そこに記入してその近辺で待つよう促されたのでその指示に従った。

ふと見ると「味処釜彦そばの夏の湯治」なる、風流な俳句が目の前にさりげなく案内されていた。そしてその隣りにはお土産ラーメンの化粧箱が飾られて、その販売あっせんを促していた。リピーター続出、町おこし大成功の味と言うことらしい。

ほどなく名前が呼ばれて座敷卓に促され、靴を脱いであぐらをかくようにしてそこへ落ち着いた。

どうやらたまたまテレビ東京のロケ一行の方々に居合わせて、どなたかが色紙にサインをしていたが顔を覗くのも失礼なのでその横を素通りしただけでどなただか判らなかった。

ともあれメニューを手にとって、そこは予定通りスープ入焼きそばをお願いした。ふと顔を見上げると、なるほど有名な方々のサイン色紙が綺麗にそこへ飾られていて、本日また一枚がそこに飾られるのだろう。程なく到着。

それではと口にすれば、唯一無二と言えて独特ながら、なんとも王道的な風情さえも感じる味わい。あっさり醤油スープに幾つかの香辛料が加えられ、そこにウスターソースを軽く効かせたものだそう。

鶏ガラベースに豚骨も使っているダシだそうで、そのコクから来る持ち味がまた素晴らしいもの。具材は下館ラーメンを再燃させる鶏肉に、焦げ目がついた炒められたキャベツが多めに入ってそれがまた良いシフトを造作していた。

新聞記事のコピーがありそれによれば、昭和30年前後に先代の店主がこのスープ入焼きそばを開発して、以来こちらの不動の人気メニューとなったようだ。店自体は戦前から営業していたと言うから、地元の超老舗店と言えそうだ。

気がつけば完食。船橋ソースラーメンのように、もっとソースの味を前面に出したものかと思えば然に非ずで、なんとも優しい味わいが心さえも和ませるそんな塩原スープ入り焼きそばであった。

千葉から来たことを告げると、嫁いで来た方の関係だろうか親戚がそちらにおられるそう。いや、これはかなりとんでもなく、果てなくどこまでも実に素敵で良かった。

(左フォト) スープ入焼きそば/サイン色紙の壁面/店舗外観 (2013.08.06)


 食堂 釜彦 (かまひこ)

 住所:栃木県那須塩原市塩原2611  TEL0287-32-2560

 定休日:不定休  営業時間:11:00〜17:00

 アクセス:JR東北本線西那須野駅下車。JRバス塩原温泉バスターミナル行きに乗車して終点で
       降車。国道400号に出てもみじライン方面に歩いて行くと左手にあり。



一昨年広い駐車場を完備した店舗に移転を果たした。

国道400号沿いの塩原温泉郷内にあるこちら。

一押しはこちらが開発したスープ入焼きそば。

地元新聞に紹介された時の記事のコピー。

お土産ラーメンの化粧箱。

周辺にはもう一店舗スープ入り焼そばの老舗店がある。