小姑娘 埼玉・蕨西口





透き通るような感覚になるほど爽やかな青空が広がって初夏らしい陽射しが街に注がれていた、六月水無月初日の週末土曜日。今日も仕事が終わって外に出れば、やや夜風が涼しい面持ちで街を駆けていたそんな午後七時過ぎだった。

それにしても蕨駅周辺にはワクワクさせるラーメンを提供する店が多く、こちらも店名からしてもう間違いないだろうと確信させた。

何処かの店で確か聞いたことがある店名だがさて何処だったかとなったが、何はともあれ気になるところとなって仕事帰りまた蕨で途中下車してその店頭へやって来た。

店先に掛けられた小豆色のような暖簾一つとってみても、かなり歴史があるこちらだと見て取れた。さっそく入店すると手前と一番奥に数人ずつ常連さんらしきグループ客が、餃子などを酒の肴にしてサワーを片手に呑んで語らっている最中だった。

ちょうどその間の空いたカウンター席に腰を下ろして、入口寄りの壁面に提供メニューの札が幾つも掛けられていてそれを見上げた。

厨房には人生の大ベテランの店主とその奥さんがおられて、その店主とやり取りしてラーメンとチャーハンの注文がさらりと決まった。

定休日と営業時間を確認させて頂くと火曜と金曜が定休日だそうで、どうりで休みに前を歩いても営業していないはずだった。昼営業をしていない夜営業オンリーの中華店なのかと思ったが、昼営業も夜営業もしているこちらであった。

娘々のルーツとも言える小姑娘のようなお話しも飛び出した。昭和23〜24年頃に大宮のドブ板通りで創業店主が開業させた小姑娘だそうで、その後昭和35年頃に北浦和にその店は移転を果たしたそう。

昭和38年に更なる移転を果たして、やって来た場所が蕨のこの地らしい。いわば本家が最後に行き着いた場所がこちらとなるようだ。

今目の前におられる店主は昭和41年に本家二代目店主から引き継いだ本家三代目となる店主のようで、これを聞いて嬉しさのあまりかなりゾクゾクと来るところとなった。

その70歳を越えた店主が徐に中華鍋を手にすると目つきが変わって、70代とは思えない身のこなしでチャーハンを作り始めた。それはまるで誰かが乗り移ったかの如くで、中華鍋から手を離すと元の温和な店主に戻っておられた。程なくチャーハンが到着。

なんという強いオーラを感じるチャーハンなのだろうか。そのチャーハンを口にすれば、もうかなり実に素敵で大変美味しいもの。

そしてラーメンがまたそれに輪を掛けたような素敵なビジュアルでやって来た。それではと行かせて貰えば、それは途徹もない感動級の素晴らしい中華そばで、戦後まもない頃の昭和20年代の支那そばとはこのこと。店主がそう言っておられただけに、間違いないところだろうか。

分厚いチャーシューがまた泣ける美味しさで、豚骨が強めに効いて鶏ガラがさらりと感じられるスープはそんな支那そばの神髄を見るようだった。カマボコが入って、それがまた時代を感じさせた。

岩槻にもこちらの流れを汲む小姑娘があるそうで、昔は浦和や南浦和に十条方面にも小姑娘があったそうだ。小姑娘のいちおしメニューと言えば餃子だそうで、岩槻の店は注文する前にまず餃子が出て来るらしい。

気がつけば完食。いや、これはかなりとんでもなく、とっても素敵で実に果てなく良かったラーメンとチャーハンだった。

(左フォト) ラーメン/チャーハン/店舗と店先の道路 (2013.06.01)


 餃子・定食の店 小姑娘(ショウクウニャン)@蕨

 住所:埼玉県蕨市中央5-2-2  TEL048-432-5441

 定休日:火曜・金曜  営業時間:12:00〜14:30/17:00〜21:00

 アクセス:JR京浜東北線蕨駅西口下車。ロータリーから延伸する道路を進んで行き、蕨ピアロード・
       蕨中央一番街を抜けて蕨中央商店街に入りしばらく歩いた右側にあり。徒歩およそ10分。

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昭和23〜24年に大宮で開業した本家小姑娘。

チャーハンに付いて来たお新香がまた良かった。

昭和38年頃に北浦和から蕨へ移転して来たらしい。