来集軒 埼玉・加須元町









曇り気味ゆえ青空の色が淡いものの、季節がそうさせているのか春色の希望を送るかのように力強く陽射しが注いでいた、そんな四月弥生前半平日休日の火曜日だった。

時に先日は浦和来集軒を訪れて、加須市内にある来集軒が随分古くから営業していることを教えて貰ったことがあった。

本家製麺所の公式サイトによれば、製麺所の創業は明治43年だが、中華料理部門は戦後の昭和27年から始めているらしい。

その公式サイトによれば、初代料理長のお名前は製麺所を創業させた落合氏では無く卯都木氏と紹介しており、来集軒について知るそれが一つの重要なポイントだろうと理解することが出来た。

またネットによれば当時本家来集軒よりも古くから中華店を営業する来集軒が10店近く在ったようだ。

その一店に含まれているのがこちらで、するとそれならばその加須市内で営業する中華店は一体いつ頃から営業しているのだろうか。

なお加須市内には二店の来集軒が営業していたが、どうやら久下(クゲ)店ではなくこの元町店の方が長い歴史であるようなのでこちらへ訪れることにした。

そんなわけで気になるところとなって上野で宇都宮線中距離電車に乗り込み、久喜で東武伊勢崎線電車に乗り換えて加須へやって来た。

加須は手打ちうどんのまちとして町おこしをしているらしく駅前に大きな案内ボードが設けられていた。出力した地図を頼りに周辺を散策しながら歩いて行き、こちらの店頭へ到着した。

店舗建物自体は瀟洒なフランス料理店と言う感じで、入口の支柱に来集軒と表記された看板があり、その建物は少し奥まった場所に建って、その手前と隣りの敷地は専用の駐車場になっていた。

その駐車場には既に多くの乗用車が駐車していて、それを物語るように入店して行くと盛況なフロアが広がっていた。

お好きな席にどうぞとのことで奥へ進んで行くと、幸い二人掛けのテーブル席が空いていたので、バッグを片側の椅子に置いてもう片方のテーブル席に深く腰を下ろした。

確認したいことがいっぱいあったが、こう混雑していると無理だろうなと思いながらも、メニューリストがあったので片手で掴んで手元に手繰り寄せてそれを広げた。するとかなりの衝撃を受ける所となった。

なぜならその冒頭のページには、「当店は昭和3年東京都台東区入谷277番地で来集軒一号店として開店しました」とあったからだ。

実はこちらが一号店とそう予測していただけに、それを一番知りたい事としていた。それがいきなり記されていただけに、思わず驚いた次第だった。ともあれ来た甲斐があったものだ。

メニューリストからワンタン麺の文字を見つけてそれをお願いし、浦和来集軒初代店主が拘わっているらしいシュウマイもお願いしようとすると、一旦保留になったがギリギリのセーフだったようでオーダーが通った。

それに気をよくして更にミニカレーライスが300円と言う金額もあってそれも一緒に注文。後であらためてメニューをよく見るとワンタン麺は冬季限定メニューの欄に記載されていて三月まで対応するようになっていた。

さりげなくそのことを確認すると、夏季限定の冷やし中華メニューを始めるまでは冬季メニューを受けているのだそう。なるほど。程なくしゅうまいが到着。やはり自家製しゅうまいだそうで、皮から自家製で具はなんと玉ねぎと豚肉だけで作ったものだそう。

案内にはソースでどうぞと記されていたが、いつも醤油なのでそこは洋辛子と共に醤油を付けて口にしたが、これがオリジナリティ溢れるしゅうまいの味わいと食感で実に良かった。

浦和来集軒でお聞きしたことをお話しすると、当時から多くの中華店で既に提供されており、そうした店の焼売も参考にしてこちらの初代店主が最終的なレシピを仕上げているそうで、助言程度であった可能性が高いのではとのことだった。

そしてワンタン麺も到着。それではと行かせて貰えば、豚骨・鶏ガラだそうで、その味わい深さは流石こだわりを感じるものだった。多加水ちぢれ麺の出来栄えは、自家製と言う領域を軽く凌駕しており、かなりの技術の高さと言えた。

ワンタンの皮もやはり自家製だそうで、チャーシューも実に美味しいもので、来集軒初代料理長が如何に凄い方だったのかこちらの三代目店主がそれを確実に証明していた。カレーライスがまたかなりの美味しさでこれまた素敵だった。

店内は白い壁の清潔なフロアだった。そこに規律よくパッチワークなどの多くの作品が掛けられていた。そばにおられたお店の方にお聞きすると、先代二代目店主の大奥様が作られたものだそうで、これもまた素晴らしい作品となっていた。

創業当時は下谷と呼ばれた地区だそうで、現在の上野の周辺であるそう。また自家製麺らしく「先代が始めた手もみ麺」と記されているのを見つけハタと思い出し、こちらの店主はもしや卯都木さんではと確認するとその通りでこの時点で殆どの謎が解明できた。

明治43年創業の来集軒は製麺所として創業し、そこに卯都木氏が製麺の修行をするため入社。昭和3年に独立を果たし本家の手助けもあって上野に来集軒なる中華店が誕生したのだろう。

しかし昭和16年にこの地へ移転しているこちらで、昭和27年に開業した本家中華店の料理長になるのは不自然だったが、他界してしまった御徒町店主が初代店主の実弟だそうで、もちろんそこは同姓だけにどうやらその方が本家初代料理長に就任されたようだ。

ちなみにこちらが昭和16年に加須町へ移転した年に、奇しくも真珠湾攻撃が成されて日本は太平洋戦争の暗い時代へと突入して行った。

その後高度成長経済を迎えた頃だろうか、来集軒は20店舗を超えるグループ店へと成長して行った時代もあったようだ。

その当時は親睦会も盛んに催されたと言う。現在の麺屋こうじグループみたいな勢いがあったことだろう。なお周辺に位置する久下店は現店主の弟さんが営業するお店だそうで、幸手店と鴻巣店はこちらの元で修行した店主のお店だそう。

最近人形町でラーメン店を営む店主が、お仲間と共にいらしたのだそう。身に覚えがある方がおられたのでその店名を挙げると間違いなかった。帰ってから調べて見ると、なるほどその同行者の方がこちらを紹介されていた。

気がつけば完食。店主とも充分に、お話しすることが出来た。いや、とんでもなく果てなく実に素晴らしかった、そんなワンタン麺とミニカレーライスとしゅうまいだった。

(左フォト) ワンタン麺/しゅうまい/ミニカレー/店舗/店内 (2013.04.09)※2013/4/28内容修正


 中華料理 来集軒 (ライシュウケン) 元町店

 住所:埼玉県加須市元町8-17  TEL0480-61-0143  定休日:月曜日

 営業時間:平日11:00〜16:00/17:00〜20:00◆土日祝日11:00〜20:00

 アクセス:東武伊勢崎線加須駅北口下車。ロータリーの右手に進んで行き、前方のV字路の左手
       の道を歩いて突き当たりを左折。まもない右路地を入って100mほど進んだ右側にあり。
       徒歩およそ5分。



入口にある店舗看板。

メニューを開くと来集軒一号店であることが綴られている。

奥の宴会フロアーは、中華一色の装飾となっていた。

周辺には千方神社が鎮座していた。

市内を歩くと加須は手打ちうどんの町だった。

東武伊勢崎線加須駅北口より徒歩五分のこちら。