(店名不定) 埼玉・蕨 ※閉店







降り続いた雨もまた遥か北東へ消えて行き、また関東地方は快晴となって青空から陽射しが爽やかに注ぐ、五月後半休日火曜日の午前中であった。

少し前にネットで食べ歩きを紹介するラーメンフリークの方がラーメン店主になったお店を紹介したが、実はミクシィでマイミクでもあってすぐ出掛けた次第だった。ミクシィは当初紹介により入会できるコミュニティサイトだったが、現在では紹介がなくても登録できるようになった。

私の場合、幅広い交遊は性格上しないと言うわけでもないが、現在61名のマイミクで留まっている。そんなマイミク様の一人が、どうやらまたラーメン店主の道を歩み始めたらしい。

やはり昔からラーメンを食べ歩いている方でその見識も広く、ラーメン店主との交流も以前からあったご様子。そんな事もあってその利用する麺は、なんと麺や七彩さんから安定した供給を得ているそう。また喜楽々の元店長さんのサポートも受けているらしい。

そんなこちらであるが、その最大の特徴を唱えるなら、それは殆どのラーメン店には必ずある店名が無いこと。先日触れたTV番組ではないが「題名のない音楽会」ならぬ「店名のないラーメン店」だ。

たまに見掛ける駅前や繁華街にいるラーメン屋台は店名がなかったりするし、国道沿いにもそうした店名を掲げない外食店は決して多くはないが存在しており珍しい事ではないが、やはりこだわったラーメンを提供して行く信条の上で店名を決めないのは異例中の異例かも知れない。

取引名としては店名を決めない店主を見て店主のお母さんが考えてくれた家族の名を一文字ずつ当てた貴里純と書いてきりずみと読ませる名前が使われているそう。そんなわけで大変に気になる所となり、そろそろ落ち着いた頃だろうと出掛ける事にした。

初夏の陽気のなか、そよ風が居心地を良くしていたJR蕨駅西口に降り立った。ちなみにこの駅は蕨市の代表駅で、その蕨市は日本全国の市の中で最も狭い面積で有名な市で、数年前には川口市と鳩ヶ谷市の3市が統合する話しもあったが現在はそれも断ち切れて現在に至っているらしい。

そんな蕨市内を10分強ほど歩いて行くと比較的新しい住宅街に街の様相に変わった頃その店頭に到着した。なるほど店名らしきものは皆無で、白い暖簾には一文字も刻まれてはおらず、ある意味純白と言えるものだった。

ハンドルネームはつい最近まで鳶(とび)さんだったが、今では残念ながら逝去されてしまった巨人木村コーチを偲んで鳶#84に変更されたようだった。それほどに大の巨人ファンの富岡店主らしい。

店内に入ると厨房にその鳶さんがおられ、自分のハンドルネームを告げるとすぐ判って頂き、その訪問を心より喜んでくれた。女性がおられたので奥さんかと思えば親戚筋の方だそうで、喜楽々元店長の方が本日もおられた店内であった。

メニューから気になっていた醤油味玉らーめんを選んでお願いした。以前ラーメンフリークが集まった40代オフに参加した事を話したが、そこで鳶さんともお会いしていたようで初対面で無く結構呑んでいたので忘れていた私だった。程なく到着。

おお、低温調理による分厚くて大きい薄紅色のチャーシューが中央に置かれていて、それによりこの醤油らーめんの本質性が見事に表現されていた。一見して只者ではないそんなオーラに満ち溢れていた醤油らーめんだった。

牛脂と腹脂による固まりとラードで表面を覆っていて、出汁には鶏肉にモミジ豚足などに立体的な奥行きのある魚介感でまとめ上げ、弓削多の再仕込醤油の圧巻的な存在感が中太やや太平打ち縮れの七彩の麺にもその色を映して余りある価値観を造作していた。

その味わいは刻みタマネギも入っている事もあって、何処か竹岡式に通じるものであった。柔らか目にして貰った七彩の麺が実に素晴らしく、その集約された英知さえも感じさせてくれたものだった。味玉も良かった。

それはそれはもう、その美味しさから真夏の蜃気楼の如く、忽ち目の前から胃に消えて行った美味し醤油らーめんで、気がつけば完食であった。その満足度の高さは集中精神もあってか、名店にさえも届く勢いがあるものだった。

店主はタイル職人等の職歴を経て、長い間鳶職を抱える会社で事務に携わっていて、その関係からハンドルネームも鳶さんだったそうで、しかし少し前にこの不況でそこが倒産してしまったそう。

一旦は違う企業に転職したものの夢が捨て切れなかったのかは定かで無いが、今回満を持してラーメン店を立ち上げた店主であった。店名を決めない事についてお聞きすると、それ自体が一つの信条を表すためだそう。

ご挨拶をしてJR蕨駅まで戻り、その周辺でしばしまったり。その後東口側に出て八年前に訪れた某店へ久々行くと、なんと最近は夜営業のみのようで店主はおられたもののラーメンを口にする事は出来なかった。

その周辺にもラーメン専門店はあったものの、こちらの舌に刻まれたばかりのラーメンが良かった事もあって、それ以上の訪問に意欲が湧かない事に気付かされた、そんな陽射しが強い蕨市内であった。

(左フォト) 醤油味玉らーめん/チャーシュー拡大/メニュー/店頭外観 (2010.05.25)


 (店名不定) ※「名前の無いラーメン屋」と表記されている場合が多い。

 住所:埼玉県蕨市中央6-3-48  ※ただし取引名は「貴里純(きりずみ)」

 定休日:火曜日   営業時間:11:30〜14:00/18:00〜LO22:00

 アクセス:JR京浜東北線蕨駅西口下車。ロータリー奥に見えるファミリーマートがある信号交差点
       を左折して進んで行き、二つ目の信号交差点を右折して戸田・国道17号方面へ向かって
       歩いて行った左側にあり。

   

  2010.05.25 通りを左に進んだら「戸田・国道17号」へ向かって行く。   2010.05.25 最寄駅はJR京浜東北線の蕨駅で西口に出る。



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