味のみこしや 埼玉・南浦和





色とりどりのツツジの花々が雨雲を誘っているのか、遥かな表層は様々なグレートーンの雲となって、ぽつりぽつりと雨粒が落ちてまた雨の一日となる予報が出ていた四月下旬の水曜日。

今日も仕事が終わって外に出れば、そう言えば節気は穀雨となっていたかと気づいた、それらしい雨が一度止んだがまた降り出していたそんな午後七時過ぎだった。

先日ネットで何気なく浦和界隈のラーメン事情を調べていると、両国界隈で一度訪れた中華店と同じ店名をJR南浦和駅周辺で見つけて気になるところとなった。そんなわけで雨で足元がぬかるむなか、南浦和駅を降り立ちその中華店を探すべく慣れない夜道を歩いて行った。

しかしその大宣と言う名前の中華店を、ついぞ見つけることは出来なかった。おそらくすでに閉店してしまったのであろう。それならば致し方ない。そんなことも充分に考えられただけに、その時のために用意していた店へ向かうかと一旦はそう思った。

しかし実は探している途中で、あそこかな?と見つけて店頭に立った中華店があった。違う店名だったが、やたら風情のいい店先で何の資料も用意していない想定外の中華店だったが、今夜はそこにしようと決めた。

その中華店がこちらで、その店頭にあらためてやって来てよく見ると、中華料理店と言うよりは中華食堂と言う感じのこちらだった。さっそく入店すると常連さんらしき方が一杯ひっかけながら食事をされていて、その奥に店主がおられた。

先述した中華店のことをお尋ねすると、2〜3年ほど前にすでに閉店してしまったことを教えてくれた。以前は安売りのリカーショップがあった界隈らしく、そこが無くなって人の流れが変わったことも一緒に教えてくれた。

店内もまた店先と同じで、味のある風情が人を和ませて、入店して良かったとあらためて思った。

さてそれでは何をオーダーするかと壁に貼られたメニューを見上げれば、ラーメンがなんと300円のこちらで、チャーハンも比較的安い520円の値札にそれならばとラーメンとチャーハンをそれぞれお願いすることにした。

昔は食料品店を営業していた店主だそうでコンビニの台頭で業績が奮わなくなって、やむなく業態変更を余儀なくされてこの中華食堂を始めたのだそう。

店主の妹さんが東松山にある「見越」と言う食堂を営業していて、その関係から料理を習ってこの店を始めて今年でもう24〜25年になるこちらだそう。

昨年の暮れまでは川越の新河岸駅前にも同じ店名の味のみこしやが営業していたそうだが、店をきりもみされていた弟さんが悲しくも急逝されてしまったそう。もしかしたら天国の弟さんが店主と私を巡り合わせてくれたのかも知れない。

店主とやけに話しが弾むと思ったら茨城・常陸太田周辺のご出身だそうで、嫁さんのお義父さんと同じだけに喋り方も似ていてなるほどだった。程なく到着。

それではと行かせて貰えば、これが何とも味わい深く在り来たりでない美味しさが切ないほど素敵なもの。いわゆる鶏ガラ・豚ガラに魚介を利かせた、しみじみとした風味にたまらない良さがあった。

店主の妹さんは熊谷の川上食堂と言う店で修行したご経験があるそうだ。それにしてもこのラーメンは実に美味しい。チャーハンもまたワイルドな面を合わせ持つものの、これまた泣ける素晴らしさ。自家製チャーシューが持つ味わいが、このチャーハンを昇華させているのだろう。

気がつけば完食。お新香と昆布の佃煮が一緒に来て嬉しかった。精算を済ませて外へ出ると、雨粒は春を後押しするように雨脚が強まっていた。いや、かなりとんでもなく果てなく素晴らしく美味しかった、そんなラーメンとチャーハンだった。

(左フォト) ラーメン/チャーハン/店頭 (2013.04.24)


 味のみこしや

 住所:埼玉県さいたま市南区南浦和3-36-13 TEL048-881-0641

 定休日:火曜日  営業時間:11:00〜21:00

 アクセス:JR京浜東北線他南浦和駅東口下車。ロータリー奥の道路を右手へ進み500mほど先の
       六つ目の左路地を入って行き、十字路を越えてさらに少し進んだ左手にあり。

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ラーメンは今時なんと300円。

お新香と昆布の佃煮が一緒にやって来た。

雨でアスファルトが濡れた周辺の店舗遠景。