中華料理 雲龍 神奈川・横浜中華街





夜半からまた降り出していた雨も正午前には上がって、春色を待つ空は次第に明るくなって行った、そんな3月弥生上旬の休日火曜日だった。

午後から天候が持ち直す天気予報もあって、また横浜中華街を訪れようと、幾つかの候補店から絞って出掛けることにした。そんなわけで横浜まで出て、みなとみらい線電車で中華街へやって来た。

時に西暦1871年の明治四年に結ばれた日清修好条規調印により、当時多くの中国人の方が日本へやって来た。特に長崎・神戸・横浜には南京街と呼ばれる中国人の町が形成され、今日の中華街と呼ばれるようになった。

そこで昔から中国の家庭料理だった汁そばであるラーメンが、日本で初めて提供されたという。その時のラーメンは函館塩ラーメンに象徴される塩味だったらしい。そうした背景から考えれば日本初のラーメンは、おそらくタンメンのスープに近いことが伺える。

東京醤油と呼ばれるラーメンは、その名が示す通り東京のしかも浅草で、明治43年に開業した来々軒から生まれたものと聞く。その来々軒店主と、この横浜中華街のお店から引き抜いて連れて来たコックの方の手によって作りだされたものだそう。

塩味のスープでは浅草の町では到底受け入れられないとして、日本蕎麦等からヒントを得て醤油をスープに取り入れたものだろう。閑話休題。さてそんな横浜中華街を歩いて行き、当初行こうと考えたお店がまもなくと言う頃、第2候補のこちらの店頭がふと行き過ぎる路地から見えた。

そのなんとも言えない店頭のいい風情に近づくと、見るからに観光客でない地元の方々が、何処からともなく現われてはこちらの暖簾へ吸い込まれて行くのが見えた。

入店しないまでも暖簾を避けて店内の様子をチラ見していずこへ行く人も数人いて、これはもう今日はここしかないと考えるところとなった。そんなわけで入店すると、メインストリートにある中華店とは明らかに違う、地元民にこよなく愛されるよき大衆中華店そのもののこちらだった。

ほぼ満員のフロアーながら入口扉前のカウンター席が空いており、そこへ腰掛けて隣りの方が口にしているラーメンを少し見てからメニューを見てオーダーを決めた。叉焼雲呑麺とあるチャーシューワンタンメンをお願いすることにした。

実は隣りの方はチャーシューメンで、そのチャーシューのフチが赤く実にうまそうだったのだ。こちらの一品料理に名物料理の巻揚げというものがあるらしく、その案内が壁に張り出されていた。豚のアミ脂を利用して豚肉・シイタケ・海老・タケノコを巻いて揚げたものらしい。程なく到着。

外観はよくありがちな町の中華店ながらやって来たチャーシューワンタンメンは、さすが横浜中華街にあるこちらだけにその風情やオーラは数倍と言える程みなぎるものを感じるビジュアル。

フチがやはり赤いチャーシューで、実に分厚いものだった。それが4枚花びらのように置かれて、そこからチンゲン菜が顔を出していた。

それではと行かせて貰えば、そのチャーシューがとんでもなく美味しく、麺は細麺ながらコシの強いもので、その昔に柳麺と呼ばれていたラーメンだがその細さはまさしく柳の葉を連想させるものだった。

スープはあまり色に染まってなかったのでこれも塩味かと思えば、このラーメンは醤油のカエシを利用したものだそう。じわんと来る素敵で奥深い、実に味わい良いスープだ。東京で生まれた醤油ラーメンは、横浜でもまたその街に合わせて利用されていた。

チャーシューの下にワンタンがあり、肉餡もたっぷりと入ったものでこれまたかなり良かった。戦後まもない頃お祖父さんがこの地で開業した中華店だそう。その後一度は閉店したものの、広東料理の名店で修行を経た2代目が、昭和60年頃に再開して今日に至っているこちららしい。

気がつけば完食。入店した頃はまだ雲も多かったが、精算して外へ出ると青空が大半を占めており、燦々と陽射しが注ぐ平日ながら大変賑やかな横浜中華街だった。いや、実にとんでもなく美味しい、素敵なチャーシューワンタンメンだった。

(左フォト) 叉焼雲呑麺/巻揚げの案内/店舗外観 (2012.03.06)


 中華料理 雲龍 (うんりゅう)

 住所:神奈川県横浜市中区山下町132  TEL045-641-9055

 定休日:月曜日・木曜日  営業時間:11:30〜14:30/17:00〜20:30※日曜祝日は中休みなし

 アクセス:みなとみらい線元町・中華街駅下車。出口3から外へ出て横浜天主堂跡信号交差点を
       左折する。突き当たりそばの関帝廟通りをさらに歩いて凸凹堂奥の左路地を曲がって
       少し歩いた右側にあり。


 ★おまけ ※以下は「横浜雅秀殿 究極の豚まん」番外特別編レポート
地元の方に愛される素敵な中華店を出て中華街を散策。中華街と言えばやはり豚まんと言えて、一つ何処かで久々食べてみようとなった。すると行きがけに見掛けた「創業昭和四拾九年雅秀殿」とあるこちらが丁度あって立ち止まった。最近ラーメン店を訪れると、開業年を確認させて貰うケースが増えて来たが、これなら確認する必要も無いというもの。

「手練り・手のし・手にぎりの究極の豚まん」だそうで、「無添加・防腐剤漂白剤不使用の手作りの豚まん」とも案内されていた。1個350円らしく支払いを済ませてそれを受け取った。とても大きなサイズで、かなり熱々のフカフカ。お聞きすると路地に椅子があるそうで、そちらでどうぞと教えてくれたお店の方だった。

関帝廟通り沿いにあるこちらだけに、路地に入ってゆっくりと口にしたいもの。そちら側でほお張ると、これがなかなかの美味しさ。キャベツに椎茸にタケノコと豚ひき肉にじっくり煮込んだ豚の角煮がたっぷりと入ったものだった。気がつけば完食。これで350円なのだから実にお得と言えて、それは美味しい豚まんだった。
 横浜 雅秀殿(ガシュウデン) 究極の豚まん   住所:神奈川県横浜市中区山下町134 TEL045-222-3506 定休日:無休 営業時間:平日10:00〜19:00/土日10:00〜20:00

  2012.03.06 たっぷりの肉餡が入る究極の豚まん。   2012.03.06 関帝廟通り沿いにある横浜雅秀殿。