中華第一家 杜記 神奈川・横浜中華街







晴れ渡って抜けるような青空から勢いを増した陽射しが注ぐものの、北寄りのやや強めの風が吹いて春をまた後戻ししていた3月半ばの休日火曜日だった。

中国山西省で生まれた麺の一種に、刀削麺というのがある。小麦粉を水で練った生地を板の上に乗せ、それをバイオリンを持つようにして包丁で麺状に削って行くものだ。

中国山西省自体小麦粉文化発祥の地と言われており、その麺も刀削麺に留まらず様々な他の麺も生まれているとされている。

そんな麺食文化発祥の地でもあるだけに、悠久の歴史の中から育まれた刀削麺なのだろう。この麺に初めて出会ったのが、当時は刀削麺荘という店名の西安料理シーアン小川町店だった。

先端は細く中間はうどんのように太い麺で、その削る姿を見て危ないのではないかと思ったものだ。横浜駅周辺にもその支店があり少し前に訪れている。

日本では横浜中華街から各地へ伝わったのかと思ったが、都内に広まったのはそんな昔からではないだけに、どうやらそうした経緯とは違う刀削麺のよう。

そこで調べて見ると 、現刀削麺酒家総料理長の劉 偉(リュウ ウェイ)氏が日本で公式に刀削麺を最初に披露した方のよう。

そう言えば秋葉原にある刀削麺荘唐家は、オープン当初は刀削麺劉家だったのを思い出す。

1963年生まれ中国西安ご出身の方で1987年に一級麺点師免許を取得し、中国西安市内のレストランにおられたが1990年中国西安麺食文化交流代表団の団員として訪日。

技術・文化交流により刀削麺だけでなく龍鬚麺の実演もされたらしい。

その後来日して1997年から聚楽の都内店中国料理を担当。そして1999年からは刀削麺莊チェーンの総料理長に就任。なんとそちらとも接点があった氏のようだ。

時にここ最近横浜中華街へ頻繁に訪れているが、少し前に中華街をよく知る餃子を立ち売りされている方から、汁そばの人気店を海員閣と共にこちらを教えて頂いて気になっていた。

2002年5月にオープンした、そんな刀削麺を提供する一店らしい。そんなわけで、出掛けることにした本日だった。

場所は関帝廟通りから香港路を入って少し進み、右手の中華菜館頂好前の細い路地をさらに入りまもない左手にあった。

店頭に立つと豚骨臭が立ち込めていて、なるほどその気分をそそらせた。中華名物刀削麺と案内されており、そこには鮮やかに麺を削る老人の絵が描かれていた。

土日は外列も出来る人気店らしいが、平日もあってかそれも無くさっそく入店すると、比較的空いていた店内となっていた。

まもないカウンター席へ促されて腰掛けると、手元のメニューリストとにらめっこ。

本来なら一番人気の杜記牛肉麺とするところだが、牛筋麺のビジュアルと上海焼餃子のインフォにどうすべきかと悩んだ。

結局はその牛筋麺と上海焼餃子でお願いすることにした。後続が続いてにわかに活気づく店内。

ふと入口のドアから外を見ていると、平日のランチタイムは麺類が100円引きになる旨の案内を見つけた。また背中側の壁にはこちらがテレビに映った場面をプリントアウトして貼り出していた。

ここは中華店の街である反面、在日中国人の方が住む居住空間でもあることが路地裏へ入ると気がつかされる。芸能人のサイン色紙が多いことにも気づいた。程なく到着。

まずパクチーが多めに乗せられた牛筋麺がやって来た。最近よく見る孤独のグルメではないが、こいつにして正解だ。トロトロに煮込まれた牛筋が、半透明になって実にうまそうだった。

それではと行かせて貰えば、刀削麺が比較的均一で長いもの。肩の上に乗せるのでなく、二の腕の下に練った小麦粉を置いて削るスタイルのようだ。こうすると一本が長い麺となるよう。

スープもいい風情で牛筋が多めに入って嬉しく、そのトロトロの牛筋はゼラチン質が豊富でとんでもなく美味しかった。

そして後から来たやや面長の上海焼餃子が、またとんでもない美味さと言えた。

「最初の一個は何も付けずにお召し上がり下さい」となっていたのでそうすれば、いかにも自家製らしい分厚い皮が表現に困るほど複雑で絶妙な素晴らしい食感をさりげなく実現していた。

そして肉汁が半端のない飛沫となって口内を駆け巡って行くもの。

肉餡の食感も餃子の肉厚皮と相俟ってかなり良かった。数個は醤油を付けず食べ、後半は付けたがそれもまたいい風合いがあった。

気がつけば完食。いや、かなりとても素晴らしかった実に美味しい牛筋麺と上海焼餃子だった。

(左フォト) 牛筋麺/上海焼餃子/店内蘊蓄/店頭外観 (2012.03.13)


 中華第一家 杜記 (トキ)

 住所:神奈川県横浜市中区山下町138番地  TEL045-226-1090

 定休日:月曜日  営業時間:11:30〜21:00

 アクセス:みなとみらい線元町・中華街駅下車。出口3から外へ出て横浜天主堂跡信号交差点を
       左折する。突き当たりそばの関帝廟通りをさらに歩いて、京華楼本館先右路地の香港
       ロードを入り、中華菜館頂好奥の右路地を右折してまもない左側にあり。



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