老郷(ラオシャン) 本店 神奈川・平塚





神奈川県平塚駅周辺にも、他所とは違う独特なラーメンがあるらしい。しかもそこは正確に言えば、かん水を利用していない為ラーメンとは呼べないが、それはどこから見てもラーメンであり、大変に気になる所となった。

今回もまた石神本最新刊の「知られざる一杯、地ラーメン探訪」のコーナーで紹介されたご当地ラーメンだ。急速に普及して行ったスタンダードなラーメンとは違うスタンスを持ったラーメンを、ご当地ラーメンと呼ぶ場合が多いと思う。

そんなわけで遠方ながら現在無職と言う事で、その模索の中で出掛ける事にした、晴れ渡る青空の十二月前半火曜日の午前中であった。少し前に総武横須賀線電車を戸塚で乗り換えて小田原方面へ向かう手段を覚え、今回もその方法で平塚までやって来た。

鉄道の趣味の関係で20代前に数度来た事がある街だったが、当時は未だラーメンに興味なかったので知る由も無かった。山中湖を水源とする相模川に差し掛かると、水面(みなも)が陽のさざめきに輝いていた。そんな長い鉄橋を渡り切ると小田原行きの東海道線電車は、平塚駅のホームに身を滑らせて到着した。

そして改札を出て歩いて行くと、駅からそう遠くない場所に、昭和25年創業のこちらが風情よく佇んでいた。入り口は解放されてコの字の赤いカウンターテーブルがよく見えた。右の方から中へ入って、そんなカウンターの一席に腰を降ろし、予定通り550円とあったタンメンをオーダー。後続が続く店内。大きいナベに、無かん水の純白な麺が泳いでいる。

メニューにはオーダーしたタンメン以外、こちらの味噌ラーメンである「みそ麺」と、餃子の三つだけしかなく潔いものだが、餃子をオーダーする方が多く、大変に流行っている様子だった。

そんなこちらは同じ市内に宝町店がある他、横浜の白楽駅周辺にも支店がある模様。また暖簾分けの店では、市内に花水ラオシャンがある他、本厚木に厚木ラオシャンと言うお店もあるらしい。程なく到着。

おお、見るからに今まで見て来たラーメンのオーラとは、違うオーラを発しているラーメンだ。多めのワカメに刻みタマネギとメンマが乗っている。さてどんな感じなのか。それではと行かせて貰えば、いやいやいやいや、もう美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い美味い。何と言う独特な酸味なのか。これは今までなかなか無かった吸引力だ。

鰹節を利用した豚骨ベースのスープに、醤油ダレ・ラード・お酢と共に、何と白ワインも直前に投入しているらしく、無化調で良い食材しか利用しないこだわりがあるそうで、だからこうなのかと唸らせるものがあった。

ここまで独特で唯一無二感があれば、逆に単なる違和感で終わってしまう場合が多いが、このタンメンはそんな風には微塵も感じられない良さがあり、その癖になりそうな酸味感は、記憶の一頁に大きな感動が残ったものとなった。

お店の方にラー油を入れて食べてもいい事を教えて頂き、後半になってからラー油を垂れ流して楽しめば、なるほど風情が変わって、これまた実に美味しい一面が感じられたタンメンとなった。

白絞め油と胡麻油を利用した自家製のラー油らしく、今回もう一軒予定していたので餃子を口にしなかったが、こちらのもう一つのウリである先客が口にしていた美味しそうなそんな餃子にも、常連さんがそのラー油をたっぷりと付けて食べる姿は実にうらやましかった。

それにしてもお酢の酸味と白ワインから来る感じの甘みが見事にドンブリの中で調和していて、ふんわりしたこれも独特だった麺が風情豊かなもので、もうそれは気が付けば完食だった。美味いと言う概念さえも再確認したくなった程で、そんな平塚に戦後まもなくから息づいていた美味しタンメンであった。

(左フォト) 湯麺(タンメン)/壁のメニュー/店舗外観 (2009.12.08)


 老郷(ラオシャン) 本店

 住所:神奈川県平塚市紅谷町17-23    TEL0463-21-3658

 定休日:月曜日   営業時間:平日11:00〜23:00/土日祝11:00〜22:00

 アクセス:JR東海道本線平塚駅小田原寄りの西口下車。前の道を左手に進んで行き、セブンイレ
       ブンがある場所の右路地を入って歩いて行った左側にあり。徒歩およそ3分。



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