越後屋 千葉・鬼越





まだ夏はしばらく続くよとでも言いたげに蝉がシンシンと鳴いて、青空から燦々と強い陽射しが注いでいた8月下旬月曜日の午前遅い時間だった。

以前にも触れたが私の生まれた所は市川市北方と言う京成線鬼越駅の周辺にある街で、6歳の頃両親が柏市に引っ越してそこを離れて行った。

しかし親戚がその近くで学習塾を経営していて、小学校高学年になるとそこへ通うはめになったものだった。昭和48年頃だから浅間山が大噴火して、オイルショックに日本が騒然となった年だ。

そんな時の帰り道の楽しみと言えば、小学生らしく買い食いであった。塾と駅の中間のS字カーブの場所にあった大衆中華店でラーメンを食した事があり、今でもそこでタンメンを口にした事を覚えている。

その後大人になってからまた鬼越を訪れてその店を探すと、違う建物で違う業態のお店になっていて当時残念がったものだった。

鬼越駅周辺は今でも何故か中華店が長続きしない街で、そんな中で千葉街道の国道14号にやけに昔から営業していそうなこちらがある事をネットでたまたま見つけてそう言えばと思い出した。そんな事があり少し前から気になっていて、今回自宅から自転車に跨がって出掛ける事にした。

ところが最近自転車に乗っていなかった事もあってか前輪がパンクしており、途中の自転車店で修理してからそのままこちらまで走ってやって来た。来る度に昔の風情が失われている事に気づかされる街並み。

そんな昔住んでいた街を久々また自転車で駆け抜けて、鬼越駅の踏み切りを渡って進めばもうすぐ。乗って来た自転車を通行の邪魔にならない場所に停めて店頭に立った。

面白い事に違う暖簾が二つあるこちらで、一つは中華店と主張するようなラーメンの文字が入った赤い暖簾だ。

そしてもう一つは街の大衆食堂とでも言いたげな御食事処と刻まれた紺色の暖簾で、どちらも目の前を勢いよく通過して行くトラックの所為で常に揺れ動いていた。

どちらもこちらの店内でラーメンの暖簾の方から入店して 、御食事処側の空いていたカウンター席に腰を降ろしてラーメンと焼飯とあるチャーハンもお願いした。

店内は常連さんによって成り立っている風だが、私みたいにいちげんさんが来ても、特に自然に過ごせそうな雰囲気があって良かった。程なく到着。

先に来たチャーハンには、紅生姜がなんともたっぷりと乗っていた。これが昭和の風情豊かに実に美味しいもの。紅生姜と焼飯の相性も抜群で、塩加減の絶妙さと言ったらなかった。

そして後から来たラーメンも、チェーン系ではまずお目に掛かれない個人経営らしい昭和そのものな味わい。

小ぶりのチャーシューに海苔・ナルト・メンマ・ネギ・小松菜が入るもの。鶏の味わいが最初から来て、柔らか目の中細麺と中華醤油スープのバランスがとても素敵で良かった。

現在の店主は二代目だそうで、もう開業してから74年経つらしく、すると創業が戦前の昭和12年と言うから凄い老舗店と言えた。

そんな店主に冒頭に話した中華店の事を話すとよく覚えていて、確かコウラクと言う中華店の名前だったそう。

気がつけば完食。いや、狭い厨房で合理的に店主がテキパキと作られたもので、しみじみした美味しいラーメンとチャーハンだった。

(左フォト) ラーメン/焼飯/店頭外観 (2011.08.29)


 越後屋 (えちごや)

 住所:千葉県市川市鬼越2-3-3 TEL047-334-7457 定休日:水曜日 営業時間:12:00頃〜22:00頃

 アクセス:京成本線鬼越駅下車。改札を出て左手に進んで行き、国道14号の横断歩道を渡ってから
       左手に少し歩いた国道沿いの右側にあり。



喜劇らーめん食べ歩きTOP